地方|現地目線での話題作りが実った、川越のインバウンド効果
埼玉県川越市のまとめによると、2018年に同市を訪れた観光客は前年比11%増の734万2000人で、外国人観光客は42%増の27万9000人と大幅に伸び、過去最多を記録しました。
主な訪問客の国籍は、台湾が40%、タイ15%、香港10%、中国6%と続き、アジア客の人気が高かったそうです。
「小江戸」の愛称で、レトロな街並みや老舗の名店、縁結びの神社として人気の「川越氷川神社」など訪日外国人に親しまれるコンテンツが凝縮されている、東京郊外の観光スポットである川越。
近年の訪日客増加の要因には、継続的に取り組んできた「外国人目線」のインバウンドプロモーションの効果が挙げられます。
訪日外国人、特にアジア圏の観光客がイメージする日本の古風な街並みに、浴衣のレンタルや食べ歩きアイテム、おしゃれなカフェ、路地裏のお菓子横丁などフォトジェニックな体験コンテンツが豊富な街の魅力を、国ごとの的確なコミュニケーション・デザインを通し発信、拡散するPRが的中したと思います。
台湾・香港向けには、訪日リピーターが求める東京郊外のスポットとしての紹介や「文青(ぶんせい)」と言われる感性の高い20~30代のテイストに合った、駄菓子やカフェ、縁結びなどのコンテンツを感度の高いインフルエンサー(盧小桃など)やウェブサイト(JAPANKURU.comなど)を活用したプロモーション展開が目立ちました。
特に、訪日外国人数の順位から見ると異例の訪問数なのが「タイ」なのですが、傾向として有名人やメディアなどの話題に影響されやすく、SNS(特に自撮り)が好きで、話題スポットとなれば訪問が集中するといったインサイトを活用した「観光アンバサダー(〈タイ観光客誘致への取り組み、埼玉県様と西武鉄道様連携事業〉)」などのプロモーションを実施した効果であると思われます。
このような川越の盛況から、観光スポットのインバウンドプロモーションにおいて重要なポイントは、しっかりとターゲット国のインサイトに同期した「現地目線」と「長い目で見る」継続的なPR戦略であることがわかります。
特に、訪日旅行の主要都市から足を延ばさせる「ローカルエリア」のインバウンドスポット開発において、川越の事例は有効なベンチマークであると思います。
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