
2025年最新版|韓国MZ世代に人気の食トレンドTOP10 〜SNSから読み解く消費行動〜
MZ世代(エムジーセデ)はSNSに敏感で、トレンドを作り、牽引する世代だと言われています。
その理由は、彼らの間で人気になったものが、やがて全国的に広がり、最終的には世界的に有名になるケースが多いからです。
つまり、韓国のMZ世代の間で流行っているものや、彼らのトレンドを把握することは、Webマーケティングを行う上で「必修科目」とも言えるのです。
ところで、最近「マーラータン(麻辣湯)」店、特に「楊国福(ヤングオクフ)マラタン(チェーン)」をはじめとして、日本、東京各地でマーラータン店の前に長い行列ができているのをご存知ですか?
筆者も、会社近くの上野にある「楊国福マラタン店」の前にできた行列を目にして驚きを隠せませんでした。
そして同時に、最初は韓国のMZ世代の間で爆発的に人気となり、やがて全国で定番食べ物として定着化したマーラータンが「今度はそれが日本でも有名になり始めているんだな…」と感慨深く感じました。
…と、前置きはここまでにして——
これから私と一緒に、この特別で多方面に影響を与えている“MZ世代の人気グルメ”について見ていきましょう!
目次
1. 韓国のMZ世代とは?Z世代との違い
韓国で「MZ世代(エムジーセデ)」と呼ばれる層は、1981年〜2010年生まれのミレニアル世代とZ世代を合わせた総称です。
韓国統計庁の推計によれば、2025年時点でMZ世代は約1,923万人、全人口の約37.2%を占めています。
※韓国統計庁より
この世代は、子供の時期からデジタル環境に親しみ、今はSNSを日常的に活用しています。また、「体験価値」や「共感」を重視し、個人の好みや主張を消費行動に反映させるのが特徴です。
ミレニアル世代(1981〜1996年生まれ)は経済的合理性やブランド信頼性を重視する傾向がある一方、Z世代(1997年以降生まれ)はスピード感、ビジュアル、ユーモアへの感度が高い傾向にあると言われています。
MZ世代はこの両者を兼ね備えたため、まさに“ハイブリッド世代”といえるでしょう。
2. 韓国MZ世代が検索した注目フードTOP10
MZ世代が熱中する“食”には、以下が挙げられています。
韓国の主要検索エンジンNAVERにおける、2025年4月の検索ボリュームをもとに分析しています。
※SEO分析ツールBlack Kiwiによる推計値
1位 マーラータン
25年4月 検索ボリューム200,800回
※出典:公式SNS
マーラータンは2010年代後半から注目を集め始めた料理で、今では日常的にデリバリー注文される定番メニューとなり、MZ世代に限らず、親世代にも広く知られ親しまれる存在になっています。
実際、「アジアタイムズ」の報道によると、2019年の韓国のフードデリバリーアプリ「ペダルの民族」では、マラに関連する屋号で登録された店舗数が前年の約10倍に増加しました。また、「ヨギヨ」という別のデリバリーアプリでも、2019年1月〜5月の間にマラ料理を販売する店舗が4倍に増え、注文件数は8倍に急増したとのことです。
中でも最も有名なのが「マーラータン」であり、ここまで人気を集めた理由は、
1つ目に、「マーラー(麻辣)」という刺激的なスープの味わい、
2つ目に、自分の好きな具材を自由に選べるカスタマイズ性にあると考えられます。
特に、野菜だけを選んでヘルシーなダイエット食として仕上げることも可能な点が、健康志向の強い現代の消費者ニーズと見事にマッチしたため、より幅広い層に受け入れられ、爆発的な人気を得たと考えられます。
2位 ヨアジョン
25年4月 検索ボリューム 200,800回
※出典:公式サイト
「ヨアジョン」は、「ヨーグルトアイスクリームの定石(ジョンソク)」の略で、まさにヨーグルトアイスクリーム界の王道となりつつあるブランド名です。
「EAT FRESH, EAT HEALTHY」というキャッチコピーのもと、健康的なデザートというコンセプトでも人気を集めています。
特にユニークなのは、ベースのヨーグルトアイスクリームの上に、自分好みのトッピングを自由に選んで載せられる点です。
フルーツなどのヘルシーな素材から、食感と風味を引き立てるグラノーラ、さらには一時期YouTubeやTikTokなどで話題になった「蜂の巣ハニー」まで、さまざまなトッピングを自分の好みに合わせて組み合わせることができ、味・楽しさ・健康を同時に楽しめるスイーツです。
実際、23日に発表された韓国食品医薬品安全処の報道によると、「ヨーグルトアイスクリームブームにより、2025年1四半期の蜂の巣ハニー輸入額が前年同期比で25,885%急増し、38万5,000ドルに達した」とのことで、その人気の高さから「トゥデイコリア」など複数のニュースメディアでも取り上げられてもありました。
3位 ロンドンベーグル
25年4月 検索ボリューム 161,700回
※出典:公式SNS
「ロンドンベーグル」とは、ベーカリーブランド「ロンドンベーグル・ミュージアム」が手がける人気のベーグルのことです。現在、直営店は6店舗のみにもかかわらず、「オープンラン」が必要なほどの大人気を誇っています。
その魅力のひとつは、韓国人の味覚に合わせたもちもちで柔らかい食感と、ベーグルの中にたっぷり詰まった贅沢なフィリング。さらに見逃せないのが、店舗のコンセプトデザインです。
食欲をそそる焼きたてのベーグル、美しいビジュアルと洗練された「ロンドンスタイル」のインテリア、そして店舗にちりばめられた馬や犬のキャラクターたちまで。こうした要素すべてが揃ってこそ、「ロンドンベーグル」の世界観と魅力を存分に味わうことができます。
4位 チョンドッククッキー(マシュマロクッキー)
25年4月 検索ボリューム 138,300回
※出典:SNS
「チョンドッククッキー」とは、マシュマロを溶かし、そこにクラッカーやドライフルーツなどを混ぜて作るおやつです。
TikTokの「モッパン(食べる動画)」コンテンツから火がついたこのスイーツは、やがて自分で作って楽しむ「レシピ動画」へと広がり、「買って食べる」「作って楽しむ」という2つの楽しみ方で今もっとも人気のスイーツとして注目を集めています。
実際、23日に発表された韓国食品医薬品安全処の報道によると、2025年1四半期に韓国へ輸入されたマシュマロは、前年同期比44.3%増の330万ドルに達したとのことです。
「チョンドッククッキー」がこれほど人気を得た理由は、独特でもちもちした食感、カラフルで見た目にも楽しい味わい、そして“作りたい”と思えば誰でも簡単に真似できる手軽さにあると筆者は考えます。そして、それをSNSというメディアが非常に上手く好奇心をそそる形で見せてくれたことも、ブームの後押しとなったのです。
5位 ヨプトッポッキ
25年4月 検索ボリューム 94,900回
※出典:公式サイト
「ヨプトク」は、激辛の味で有名なトッポッキブランド「ヨプギトッポッキ」の略称です。
他ブランドと比べて強烈な辛さと刺激を楽しめるのが特徴で、ストレス解消にもなるほどの刺激的な味が、現代社会のトレンドとマッチし、多くの支持を集めています。
さらに、ロゼ・マーラー・ロゼマーラーなど、トレンドに合わせて新しい味を次々と展開している点も、長く人気を維持している理由の一つといえるでしょう。
6位 ドバイチョコレート
25年4月 検索ボリューム 54,400回
※出典:SNS
昨年、大ヒットしたお菓子で、現在はコンビニでも手軽に見かける定番アイテムとなりました。
注目された理由は、人気フレーバー「ピスタチオ」、特別なサクサク食感、ASMR動画や「おうちで手作り」コンテンツとの相性だと考えられます。
これらの要素が相乗効果を生み、トレンドスイーツとして話題となりました。現在もネイバーの月間検索数では安定した人気を維持しています。
7位 マラシャングオ
25年4月 検索ボリューム 47,200回
※出典:公式サイト
マラタンの汁なしバージョンで、自由に具材を選べるカスタマイズ性と、刺激的な味わいが魅力です。
マラタンと同様、自分好みにアレンジできる自由さが人気の要因と考えられます。
8位 フォグオ(火鍋)
25年4月 検索ボリューム 42,000回
※出典:公式SNS
マラタンの進化版ともいえる料理で、スープだけでなく、ディップソースまでも自由に選べるのが特徴です。
最近では、人気ラッパーのイ・ヨンジさんがYouTubeコンテンツでアイドルNCTのマークさんと火鍋を食べる動画を配信し、ソースの組み合わせが話題となりました。
9位 スウェディッシュグミ
25年4月 検索ボリューム 36,200回
※出典:公式SNS
カラフルな色、可愛らしい形、もちもち食感など、視覚+触覚の刺激を重視するMZ世代にマッチした商品です。
ニュースシの報道によると、2024年に韓国のコンビニGS25で発売され、アプリ検索1位を継続。
CUでも発売から1週間で10万個突破、ゼリー部門1位を記録しました。
10位 タオルケーキ
25年4月 検索ボリューム 32,600回
※出典:公式SNS
中国発の「毛巾巻(マオジンジュエン)」というスイーツが、韓国MZ世代の間で話題になり、直訳の「수건케이크(タオルケーキ)」という名前で知られるようになりました。
くるくると巻かれたクレープの中に、たっぷりと詰まったクリームが特徴で、
ユニークなビジュアルがSNSで注目を集めたほか、
中身のフィリングが単なるクリームだけでなく、フルーツやチョコなど自由にアレンジ可能な点も人気を持続させた理由と考えられます。
3. なぜこの食品が人気? 背景にある文化・価値観とは
キーワード1:カスタマイズできる“選択の自由”
マーラー系やヨアジョン(ヨーグルトアイス)などに見られる特徴のひとつが、「自分で選んで組み合わせる楽しさ」です。
具材やトッピングを自分好みに選べるこのような形式は、“自分らしさ”や“選択する感覚”を大切にする傾向があるMZ世代との親和性が高いと考えられます。
キーワード2:空間と味覚の“体験型融合”
ロンドンベーグルに代表されるように、「味」だけでなく「空間」「ビジュアル」「雰囲気」といった体験全体を重視する動きも注目されています。
特にMZ世代では、食そのものだけでなく、そのシチュエーションや一緒に過ごす時間、SNSにアップしたくなるような演出も含めて、食の価値が高まる傾向が見受けられます。
キーワード3:視覚・聴覚・プロセスを楽しむ“コンテンツ型フード”
チョクドゥククッキーやドバイチョコレートのように、「作る・見せる・食べる」という一連の体験がSNSコンテンツとしても楽しめるお菓子が注目を集めている傾向があると推測しております。
さらに、スウェーディッシュゼリーのようにカラフルな色合いや可愛らしいフォルム、咀嚼音(ASMR)など、視覚や聴覚をくすぐる要素がある商品は、投稿映えするという観点でも関心を集めやすいと言えると思います。
こうした“五感”を刺激しつつ、プロセス自体がコンテンツになる食品は、SNS時代の消費スタイルとも自然にマッチしている可能性が高いと考えられます。
4. 韓国市場向けのPR・商品展開ヒント
① 韓国市場向け商品の輸出へのヒント
カスタマイズ性の高い商品や、視覚的インパクトのある食品が韓国のSNS上で話題になるケースが多く見られます。
特にMZ世代を中心に、「見せたくなる食体験」や「選べる楽しさ」への関心が高まっているため、商品開発やPR展開においても、こうした要素を意識することが一つのアプローチとなり得ると筆者は思い切って推測してみました。
② 韓国人インバウンド顧客向け店舗・体験設計への活用
「食べること」そのものに加えて、空間体験やコンセプト性を重視したスポットへの関心が高まっています。
そのため、飲食や小売の現場でも、「SNSに投稿したくなる体験」や「旅行中に特別感を味わえる空間設計」が、訪問の動機付けにつながる可能性があります。
特に韓国インフルエンサーやSNSユーザーによる自然な発信は、購買行動や認知拡大にも波及しやすいため、SNS映えと口コミ拡散を意識した“撮影しやすい設計”などを取り入れることで、効果的なプロモーションが期待できるかもしれません。
次の戦略に活かす、ひとつの視点として。
韓国のMZ世代の「検索行動」からは、単なる食の流行を超えた“感情消費”“選択の楽しさ”が読み取れます。
食そのものよりも、ストーリー・体験・見た目・空気感が価値となる時代。
弊社では、このような検索データに基づいたMZ世代マーケティング・商品企画・ブランド戦略コンサルティングを行っております。
ご興味ある方は、お気軽にお問い合わせください。
このコラムを書いた人

グローバル・デイリー / 海外消費者リサーチ・トレンド分析担当
アジア各国の“今どき”消費動向や人気商品のヒット要因を日々ウォッチ。 SNS分析や現地メディアの調査、商談現場の声などをもとに、インバウンド施策や越境マーケティングに役立つ情報をお届けします。 「実際に、現地でウケている理由は?」「数字の裏にある文化背景は?」──そんな疑問にこたえる視点を大切にしています。
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