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海外旅行者はAIで旅を決める時代へ ~日本企業の海外認知を左右する「GEO」と情報設計~

最近、海外向けの情報発信について社内外で話す機会が増えるなかで、以前とは明らかに前提が変わってきたと感じています。それは、旅行者が情報を探す入口として、検索だけでなく生成AIを当たり前に使い始めていることです。

生成AIは、海外でもすでに単純作業の削減だけでなく、仕事の質やスピードを高める手段として広く活用されています。消費者庁によると、米国国務省ではメディア記事のモニタリングや多言語翻訳で大幅な時間削減が見込まれており、英国でも意見公募の整理や議事録作成が短期間で行えるようになっています。弊社内の在留外国籍のスタッフたちの間でも、生成AIを仕事や情報収集に使うことは、日常のなかで当たり前となっています。

こうした変化は、観光やインバウンド分野にも広がり、旅行者は今、検索結果を一件ずつ読むのではなく、生成AIに情報を整理や比較しながら旅程を考えるようになっています。インタセクト・コミュニケーションズの調査によると、2026年春節に訪日予定の中国人観光客の90.4%が、生成AIやAIアシスタントを活用して旅行計画を立てていると回答。実際に、訪日予定の中国人観光客の多くが、観光スポット探しや旅程作成、日本文化の情報収集などに、生成AIを活用しています。つまり企業にとっては、「検索されること」だけでなく、「AIの回答の中で参照されること」が重要になってきています。こういった内容が生成エンジン最適化(GEO)ともいわれています。私は、ここがインバウンド施策における大きな転換点だと考えています。企業にとって重要なのは、検索結果の中で見つけてもらうことだけでなく、AIに情報源として選ばれ、旅行者にわかりやすく説明されることに変わりつつあるからです。

 

出典:インタセクト・コミュニケーションズ㈱

 

GEOとは、生成AIやAI検索に対して自社の情報を正しく引用・参照・推奨してもらいやすくするための設計を指します。従来のプロモーションをする上で、SEOが検索順位を意識する考え方だったのに対し、GEOは「AIの回答にどの情報源が採用されるか」がポイントになります。

ここで海外での認知拡大をお考えの企業側が押さえておきたいのは、「どのAIに見つけてもらうか」は国により異なるという点です。2026年3月時点のAI検索の世界動向は、北米・欧州ではGoogle、ChatGPT、Perplexityの併用が進み、中国・韓国・ロシアではローカルサービスの存在感が強くなっています。GoogleはAI Overviewsを100か国超へ広げ、AI Modeは200超の国・地域、35超の言語に展開(2026年4月16日時点)。AI検索そのものが、限られた先進ユーザー向けの機能ではなく、各市場で日常的な情報収集の入り口になりつつあることが読み取れます。

海外向けの認知拡大を目指すなら、これからはAIに拾われやすい情報発信の設計が欠かせません。FAQや比較表、一次情報、明確な見出し構造、多言語対応といった要素を整えることで、旅行者の問いに答える情報としてAIに参照されやすくなります。

ただ、実務の現場ではそれ以前の課題も少なくありません。営業時間、料金、予約方法、利用条件などの基本情報が複数ページに分散していたり、日本語ページと多言語ページで内容に差があったりするケースも見られます。私は、まずこうした情報のばらつきをなくすことが、GEOを考えるうえで最初に取り組むべき点だと感じています。

広告・検索・AI回答・予約や来店が一続きになっていくなかで、各国のユーザーが使うAIに正しく見つけてもらえるかどうかは、海外プロモーションの成果を左右する要素になっていくでしょう。質問起点のコンテンツが十分でない場合、企業が伝えたい情報ではなく、周辺的な情報ばかりがAIに拾われてしまう可能性もあります。 

GEOを一過性のトレンドで終わらせるのではなく、継続的に取り組むべき情報設計のテーマとして捉える必要があります。海外認知を広げたい企業にとって、これから重要になるのは、何を発信するかだけでなく、その情報がAIや検索の中でどう理解され、どう届けられるかです。情報発信の成果は、こうした設計の積み重ねによって決まっていくのだと思います。

このコラムを書いた人

藤田(Fujita) プロフィール写真
藤田(Fujita)
グローバル・デイリー / 広報部
媒体部兼進行部の経験を経て、海外のプロモーション会社や出版社とのパートナーシップを築いてきた。各国のトレンドや需要を抑えながら、企業のニーズに沿ったインバウンドプロモーションについて長年にわたり従事。

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