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コラム

タイ市場で存在感を増す日本製品と日本食:「高品質志向」が鍵に

高品質志向」が鍵となるタイ市場〜日本製品と日本食が再評価される理由

~高まる消費額とトレンドの行方~

近年、タイにおいて日本食や日本製品の人気が再び高まりを見せています。背景にあるのは、一過性の“日本ブーム”ではなく、タイ人消費者の「高品質志向」「本物志向」の進化です。本コラムでは、最新データと現地のトレンドから、タイ市場で成功するためのヒントを探ります。

 

タイ人の消費志向の変化:体験や商品にお金をかけるように

日本政府観光局(JNTO)のデータによりますと、2024年に訪日したタイ人は114.9万人でした。これはコロナ前の水準には届いていないものの、消費額は過去最高の2,265億円を記録しました。2019年比で30.8%増、2023年比では17.6%増と、大幅な伸びを見せています。

これは、1人あたりの旅行支出が増加していることが主な要因です。消費内訳を見ますと、「買物代」が最も多く6万1,840円、次いで「宿泊費」「飲食費」が続いており、タイ人旅行者が日本での体験や品質に対して、積極的にお金をかけていることがわかります。

 

日本食レストランの動向:競争激化と“本物志向”の台頭

日本貿易振興機構(ジェトロ)の「2024年度タイ国日本食レストラン調査」によりますと、日本食レストランの店舗数は2024年時点で5,916店舗に達し、前年から165店舗(2.9%)増加しています。

特に増加が目立ったのは、そば・うどん(+16.1%)、喫茶(+13.1%)、居酒屋(+9.8%)でした。一方、かつて店舗数最多であった「すし」は6.8%減の1,279店舗となり、「総合和食(和定食・懐石など)」の1,439店舗が再びトップに立ちました。

すし屋の減少は、手頃な価格で高品質な寿司店の増加により、消費者の求める質が上がったことが背景にあります。その結果、価格競争に依存していた店舗は市場から撤退せざるを得なくなったと考えられています。

さらに注目すべきは、1人あたり平均価格が1,000バーツを超える高級店の数が前年比13.9%増加していることです。価格帯別では101〜250バーツの店舗が依然として最も多い(2,057店舗)ものの、成長は鈍化しており、高価格帯市場が拡大していることを示しています。

 

トレンド① 抹茶ブーム:健康志向と“プレミアム志向”の融合

タイのトレンドについて3月に弊社メディアチームが収集した情報をもとに見ていきましょう。

タイでは、抹茶ドリンクの人気が急速に高まっています。フードデリバリーサービス「LINEMANWongnai」の統計によりますと、2024年の抹茶の販売数は500万杯(前年比+78%)に達しました。特にバンコクを中心に注文が集中しています。

2020年には100万杯、2021年でも200万杯に届かなかったことを考えると、わずか数年で急成長したことがわかります。

この抹茶人気の背景には、「美味しさ」だけでなく「健康志向の高まり」があります。さらに、価格に関係なく品質が良ければ購入したいというプレミアム志向も見られます。消費者の中には高級な抹茶を求める声もあり、日本産抹茶に対する関心が今後さらに高まる可能性があります。

ただし、タイ人にとって日本の抹茶は、どのブランドがおすすめであるかの情報が行き届いていない部分もあり、ブランディングが重要であるといえるでしょう。

トレンド② 医薬品・スキンケア:日本製への信頼が後押し

日本製品に対する信頼感の高まりから、タイでは日本の医薬品やスキンケア製品の人気が高まっています。特に人気を集めているのは以下のカテゴリーです

    • スキンケア:美白・保湿・シワ・シミ・ニキビ予防(ビタミンC配合など)
    • 日焼け止め・UVケア
    • サプリメント:美白やニキビ対策
    • ヘアケア:シャンプーやトリートメント、ヘアパック

いずれも「品質」を重視するタイの消費者から支持を受けており、「日本製であること」自体が大きな信頼の証となっています。

 

タイ市場で成功するために必要な視点とは

2025年のソンクラーン期間は、流通貨幣はが前年比4.5%増の1346億3100万バーツとなり、2020年以来の最高支出額となると予測。ソンクラーンによってますます消費活性化が見込まれます。

訪日タイ人の消費傾向や、日本食レストランの現地動向、さらに抹茶や医薬品の人気から読み取れるのは、タイ人消費者の「本物志向」「高品質志向」が今後の市場を左右するということです。安価であることよりも、信頼できる品質や、本格的な体験を求める動きが広がっており、今後タイ市場で成功するためには、「日本らしさ」と「品質の高さ」を明確に打ち出す戦略が必要となるでしょう。

今後のタイ市場で成功するためには、単なる“現地進出”ではなく、「日本らしさ」と「品質の見せ方」を明確に打ち出すことが鍵となります。
価格競争よりも、品質と体験の提供に重きを置いたブランディング戦略が求められています。

 

参考:

タイの日本食レストランは5,916店舗、前年に続き増加、ジェトロ調査

2024年の訪日タイ人数は114.9万人、コロナ前に届かぬ一方で消費額は過去最高 訪日ラボ

タイ人はもう、安く済ませることにこだわっていません!日本のレストランの新たなトレンドに注目:「1人1,000バーツ」が支払う価値のある価格になるとき THE STANDARD

ソンクラーンは賑やかですね! 1000億バーツ以上のキャッシュフローを生み出すと予想 AMARIN

他、グローバル・デイリー 独自調査

このコラムを書いた人

藤田(Fujita) プロフィール写真
藤田(Fujita)
グローバルデイリー / 広報部
媒体部兼進行部の経験を経て、海外のプロモーション会社や出版社とのパートナーシップを築いてきた。各国のトレンドや需要を抑えながら、企業のニーズに沿ったインバウンドプロモーションについて長年にわたり従事。

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