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コラム

韓国新大統領の誕生と、日本のインバウンド産業が直面する現実

2025年6月3日の韓国大統領選挙において、与党『共に民主党』の李在明(イ・ジェミョン)候補の当選可能性が高まる中、日韓関係の今後に対するさまざまな予測が韓国国内外で取り沙汰されています。
特に、日本国内で訪日韓国人旅行者をターゲットにしたビジネスを展開する企業や自治体にとって、こうした外交的変化は無視できない影響を及ぼす可能性があるでしょう。
報道や専門家のコメントをもとに、日韓関係の動向がインバウンド事業に与える影響を展望し、今後の備えについて整理してみました。

李在明(イ・ジェミョン)候補のYoutube

政治・外交の行方と不確実性

李在明氏は、歴史問題に対して一貫して厳しい姿勢を取ってきました。一方で、経済・技術協力などにおいては現実的・実利的な関係構築を目指しており、いわば “厳しさと実用主義”のハイブリッドが外交スタンスとも言えます。

一方、日本メディアでは、彼の当選の可能性が高いことに対して懸念の声も見られます。特に、産経新聞の黒田勝弘客員論説委員は「もし李在明が大統領になれば、日本にとっては“災難”になるかもしれない」と述べ、日韓関係の再悪化を懸念しています。

インバウンド業界への示唆と警戒

日韓の政治関係が冷え込めば、自治体や企業による韓国向けプロモーションや共同施策が縮小するリスクは否定できません。
特に官民連携型キャンペーンや、文化交流イベント、地方誘客型プロジェクトなどは政治の風向きに敏感に影響を受けやすい構造を持っています。 一方で、李在明氏の「実用主義」外交が機能すれば、観光・経済交流は引き続き安定的に進むとの見方もあります。

今、企業・自治体に求められる視点は….

政治に依存しないプロモーション設計です。特に食・美容・観光・ライフスタイルといった非政治領域を軸にした企画の重要性が高まるでしょう。
また、地域密着型の発信・キャンペーンをさらに強化することです。 現地文化に即した“等身大のニーズ”を捉えた情報発信・SNS連携・インフルエンサー施策などが引き続き有効でしょう。

最後に、日韓いずれか一方の協力が難しい場合も見越して、他国(ASEAN等)との併行施策や民間主導型連携の比率を増やすのも一案です。

外交は変化する、でも戦略は持続可能であるべき

政権交代や外交リスクは“変数”にすぎません。
企業や自治体が築くインバウンド施策は、こうした政治変化に耐えうる“普遍的価値”に基づいて設計される必要があります。
観光客は“政治“ではなく“体験価値“や“安心・品質“に反応します。
今後、日韓関係がどう動いても、「地に足の着いた観光・マーケティング戦略」の積み重ねこそが、ブレないビジネス成長の鍵となるでしょう。

このコラムを書いた人

金 プロフィール写真

グローバルデイリー / 広報部
韓国出身。旅行業やマーケティング会社の運営を通じて、インバウンドに関わる企画・販売・情報発信まで幅広く携わってきた。 実務で培った視点をもとに、現在は自治体や企業向けに、海外向けコンテンツの制作やセミナーを通じて、インバウンド施策を支援している。

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