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コラム

中国、韓国、日本の5月連休:各国の旅行者の動向を探る

中国はナイトツアーが観光のカギに、韓国は大阪発の旅行分散が進む見通しです

2025年5月は中国の「労働節」5/1(木)~5日(月)の5連休、韓国の連休5月3日(日)~6日(火)、日本のゴールデンウィーク5月3日(日)~6日(火)と、5月は中・韓・日の大型連休が重なり、観光・旅行市場が一気に動き出す重要なタイミングです。本コラムでは、中国・韓国・日本それぞれの旅行動向と、その背後にある社会・経済的背景を読み解きます。

 

中国:夜の体験が旅行を変える?ナイトツアー増加の理由とは

・夜間観光の人気上昇

・夜の体験型コンテンツのトレンド化

中国では「労働節」の旅行が引き続き人気を集めています。特に注目されているのが、夜間観光、いわゆる「ナイトツアー」の充実です。従来のライトショーでは満たされなくなった観光客の期待に応えるべく、観覧車での星空観賞やナイトクルーズ、夜市でのグルメ体験など、文化的で差別化された夜の観光商品が中国国内で次々と登場しています。海外旅行でも同様のことがいえるでしょう。ナイトツアーは観光客の滞在時間を延ばし、旅行先のイメージアップにも寄与するでしょう。近年は、民俗芸術、音楽フェス、ナイトマーケットなどを組み合わせた体験型コンテンツが人気を集めており、夜の時間帯が旅行の質を左右する新たなトレンドとなりつつあります。

 

韓国:大阪だけじゃない!旅行者が次に選ぶ“分散先”はどこ?

・渡航先は中国、日本、ベトナムが人気で、ヨーロッパなど長距離路線も伸長

・大阪・関西万博の影響で京都・神戸・四国などへの旅行分散の動きも

韓国でも5月3日から6日までの4連休に加え、前後に有給を組み合わせた6連休以上の長期休暇を取る人が多く、海外旅行需要が高まっています。ハナツアーの予約状況によりますと、昨年と比較してパッケージ旅行の予約率は約60%増加。訪問先としては中国(26%)、日本(22%)、ベトナム(12%)が上位に並んでおり、短距離だけでなくヨーロッパなど長距離路線も伸びを見せています。

しかし、2025年に開催される大阪・関西万博の影響で、日本現地の宿泊費が上昇している点が懸念されています。連休シーズンは特に混雑が予想されます。これを受けて、京都、神戸、さらには四国地方への旅行分散する動きもみられています。

日本:回復中の海外旅行、目的地は“近場派”と“遠方派”で真っ二つ

・海外旅行への意欲はコロナ以降の回復基調

・近場と遠方、旅行先の傾向が二極化

JTBによると日本では、ゴールデンウィークを利用した海外旅行者が前年比110%の55万人に達する見込みで、コロナ以降の回復基調が続いています。韓国や台湾など近場への旅行が依然として人気ですが、欧米やオーストラリアなど遠方への長期旅行を選ぶ人も増えており、旅行先の傾向が二極化しています。

観光地の今後にも影響する「5月連休の動き」

2025年の5月連休は、東アジアにおける観光・経済交流の在り方を映す重要なタイミングとなっています。中国では夜間観光を中心としたナイトタイム・エコノミーが加速し、韓国からは旅行分散の新たな需要が生まれ、日本でも海外旅行の多様化が進んでいます。

一方で、経済情勢の影響で韓国からの訪日旅行については、現在やや控えめな傾向が見られますが、今後の回復に期待が寄せられます。李在明政権が掲げる「実用主義」外交により、日韓関係の安定化が進めば、観光や経済の交流がさらに活発になる可能性があるためです。各国が抱える観光課題や外交関係も複雑に絡む中、これからどのような旅行トレンドが形成されていくのか、今後の動向に注目が集まります。

 

「参考資料」

ゴールデンウイークの旅行予測2025、総旅行者数は7%減、国内旅行は8%減、海外旅行は10%増、JTBが推計

万博開幕、観光需要拡大に期待 訪日客、来場者の1割に 時事通信

ゴールデンウイークが近つく、夜間旅行商品が人気。CCTV(中国)

万博にGWまで…4月の大阪旅行、ホテル確保が最優先Travie(韓国)

重なり合う韓・中・日のGW…FITは増加、団体は「?」旅行新聞(韓国)

 

このコラムを書いた人

藤田(Fujita) プロフィール写真
藤田(Fujita)
グローバルデイリー / 広報部
媒体部兼進行部の経験を経て、海外のプロモーション会社や出版社とのパートナーシップを築いてきた。各国のトレンドや需要を抑えながら、企業のニーズに沿ったインバウンドプロモーションについて長年にわたり従事。

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