ラグビーW杯|大分・別府、食文化の対応で「おもてなし」
2019年9月20日から11月2日まで、アジア初として日本の12の都市で開催される「第9回ラグビーワールドカップ」が、開催まで残すところ1ヵ月となりました。 ニュージーランドなどでは国技と言われ、日本でもファンを増やしている、世界的な人気スポーツであるラグビーですが、今大会のリーグ開催会場である各地域では、19か国の海外観戦者の来訪に期待を寄せ、対応に拍車をかけています。
特に、今回のラグビーW杯の参加国の構成が、現在の訪日客の7割を占める東アジア圏ではなく、ヨーロッパ、アメリカ、中東、中南米などの国々であることから、大会をきっかけに初めて訪日する選手団やその家族、観戦客などが多いことが予想される中、東アジア圏に比べ比較的滞在日数が長く、ハラル、ベジタリアンなど多種多様な食文化を持つ訪問客たちの「食への不安」の解消が課題としてあります。
開催会場の1つである大分市では、2018年10月以降宿泊施設や飲食店向けに「ベジタリアンセミナー」を開催、対応方法や地元産の野菜を活用したメニューの開発を促し、食の多様化に向けレクチャーを始めました。ラグビーのカテゴリを追加した「O!TA(おおいた)アプリ」をリリース、ラグビー情報を含め県内の情報を提供するなど、食の多様化受け入れへの対応を呼びかけています。
また、同じく観光に訪れることが予想される同県別府市では、立命館アジア太平洋大(APU)の学生団体「ベジらる(Vegelal)」が、ベジタリアン、ビーガン(完全菜食主義者)、ムスリム(イスラム教徒)向けの料理を提供する別府市内の飲食店をまとめたリーフレットを作り、住民や観光客にPRもおこなっているそうです。
▲Photo by JAPANKURU
日本旅行の楽しみとして多くの訪日外国人に期待され、満足を与えている「日本食」ですが、宗教的・体質的な理由から味わうことができないという残念なケースのほとんどは、少しの工夫やコミュニケーション対応などで解消できることが多く、今回のラグビーW杯および2020オリンピックを控えた今、このような食の多様化に向けた取り組みは、訪日インバウンドにおいて「おもてなし」のひとつとして整えていく必要があるのではないでしょうか。