
台湾睡眠サポート市場と訪日台湾人の購買行動について
昨今、社会の変化やライフスタイルの多様化に伴い、世界的に睡眠の質の低下が深刻な問題となっております。
2024年3月に開催された「世界睡眠デー」に合わせて、ResMed社より発表されました世界規模の調査結果によりますと、調査対象となった多くの国々の被験者のうち、実に約4割以上の方が週に3回未満しか良質な睡眠を取れていないという実態が明らかになりました。なかには、週に1回しか満足できる睡眠が得られない方もいらっしゃるとのことです。
また、調査に参加された方の50%が日中に過度な眠気を感じ、40%の方が朝起きたときに気分が落ち込みやすいと回答し、39%の方がイライラしやすいと答えております。このようなデータは、睡眠の質が世界的に著しく低下していることを示しており、睡眠障害がもはや一部の人だけの問題ではなく、現代社会が抱える共通の課題であることを示唆しております。
目次
- 1.台湾の現状:成人の5人に1人が睡眠薬を使用している?<
- 2. 台湾のネット上の声から見える「睡眠サポート」への高い関心
- 3.台湾で特に注目されている助眠成分について
- 4.訪日台湾人の購買行動からも見える助眠ニーズ – 人気商品TOP3
- 5. まとめ:日本企業には大きなビジネスチャンス
1. 台湾の現状:成人の5人に1人が睡眠薬を使用している?
これを、台湾の状況に焦点を当ててみますと、こちらも大変深刻であることがわかっております。
台湾の国民健康署が2019年に発表した調査によりますと、成人の約23.5%が不眠症状を抱えており、そのうち6.7%は3ヶ月以上の慢性的な不眠に該当すると報告されています。
さらに2021年の衛生福利部の統計によれば、台湾における睡眠薬の使用量は10億錠を突破し、過去5年で使用者数が22万人も増加したということです。これは、台湾の成人のうち5人に1人が睡眠薬を服用している計算になります。
アジア睡眠協会のデータも踏まえますと、成人の約5人に1人が不眠に悩まされているほか、特に45歳から65歳の中高年層においては約8割もの方が睡眠障害を抱えているとのことで、台湾を「失眠之島(不眠の島)」と称する記事もあります。
2. 台湾のネット上の声から見える「睡眠サポート」への高い関心
このような睡眠問題の深刻化に伴い、台湾の健康補助食品や睡眠サポート商品に関する市場は急速に拡大しております。
台湾のネットワークデータ分析プラットフォームであるQSearchの調査によりますと、助眠(睡眠サポート)関連の健康食品に関するネット上の投稿件数は2020年から2022年の間に著しい伸びを見せております。
出典元:QSearch
具体的には、2020年の5,321件から、2021年には11,702件と120%の増加を記録し、2022年には13,408件にまで増加しました。
これはわずか3年間で平均年成長率が約152%に達するという驚異的な数字であり、FacebookやInstagram、各種オンラインフォーラムなどで、睡眠改善方法への関心が急激に高まっていることを示しております。台湾の消費者の方々は、従来の睡眠薬に伴う副作用への不安から、よりナチュラルな選択肢を求めている様子がうかがえます。
3. 台湾で特に注目されている助眠成分について
弊社が独自に収集・分析を行っているデータによりますと、2025年4月14日から6月13日にかけて、台湾(IPアドレスおよび繁体字使用を基準)にて助眠関連の話題を取り上げたインターネットユーザーは合計1,350名に上りました。その中で、話題に最も多く取り上げられた助眠成分は以下の通りとなっております。
―弊社独自調査結果より
※プラットフォーム問わず、全Web上のデータを取っています。但し、場合によってデータが取れないプラットフォームもありますので、あくまで参考までにお願いいたします。
上記にて、台湾のインターネット上における助眠に関する話題は非常に活発であり、助眠成分についても多くの人々がよく知っていることが伺えます。直近2ヶ月間で確認された助眠関連の投稿数は1,350件にのぼり、助眠に対する関心の高さを示しています。
細かく成分別の言及数を見てみると、台湾のネットユーザーは多様な助眠成分について知識を持ち、積極的に情報交換を行っていることがわかります。
中でも「メラトニン」が636件、「GABA」が601件、「マグネシウム」が527件と、とくにこれらの成分に関する言及が多く見られます。これらは近年、助眠効果が科学的にも支持されていることから、台湾の消費者の間で特に注目度が高いものと考えられます。
4. 訪日台湾人の購買行動からも見える助眠ニーズ – 人気商品TOP3
台湾の助眠ニーズは、訪日旅行における購買行動にも顕著に現れております。
新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、日本への渡航が再開された現在、台湾からの観光客が日本で助眠関連商品を購入するケースが増加し、これらの商品に関する話題も台湾のSNSで盛り上がっております。代表的な商品例としては以下のものが挙げられます。
1. LUSH(ラッシュ)のマッサージバー
LUSHが日本で販売している助眠効果を謳ったマッサージバーは、昨年台湾において物凄く話題となり、台湾国内では一時品薄状態となりました。そのため、多くの台湾人が訪日時に大量に購入し、帰国後も愛用するという状況が続いております。香りを用いたリラクゼーション効果が高く評価されており、アロマテラピーとマッサージを組み合わせた形態の睡眠サポート商品として、台湾市場でも注目を集めております。
出典元:Lush
2. 無印良品 ルームフレグランススプレー おやすみブレンド
台湾のインターネットユーザーの間では「睡眠の麻薬」とも冗談めかして呼ばれるほど話題となった無印良品のアロマスプレーも、訪日旅行時の定番購入品となっております。日本の店舗での品薄状況もしばしば見られ、使用者からは「香りが柔らかく安眠を促す」「家族全員で使える便利なアイテム」といった評価がSNS上に多く投稿されております。
出典元:無印良品
3. ヤクルト1000(Yakult 1000)
日本国内で長らく品薄状態が続く、機能性乳酸菌飲料「ヤクルト1000」も、台湾で非常に高い注目を集めています。腸内環境の改善が睡眠の質向上に寄与するという科学的知見が広まり、台湾の消費者は日本滞在中にこの商品を積極的に購入しているようです。
出典元:Yakult
その他の注目商品(一例)
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- 快眠ココア
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- GABAチョコレート
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- 線香
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- 目元用のホットアイマスクや冷温パックなどの物理的サポート用品
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これらは薬物ではないため副作用の心配が少なく、「自然で安全な睡眠補助」として、より手によ取りやすいのが特徴、人気の要因と考えられます。
5. まとめ:日本企業には大きなビジネスチャンス
以上のグローバルな動向と台湾の実態を総合すると、台湾においては睡眠の質改善に対する需要が非常に高まっており、市場としての成長ポテンシャルが極めて大きいことが理解できます。助眠食品や香り製品、生活サポートグッズなど、またサプリメントを通じて、台湾の消費者は「眠りを改善したい」という強いニーズを持っています。
台湾人のニーズに答えられ、知られた商品は「爆買い」されています。
このため、日本企業様におかれましては、自社製品の機能性や信頼性、そしてデザイン性を活かしつつ、台湾の消費者の嗜好や文化に合わせたマーケティングや商品開発を進めることで、成長市場における優位性を築ける絶好の機会といえるでしょう。
台湾の睡眠サポート市場に関する詳しい人気商品情報やSNS動向、競合分析などの詳細調査にご興味をお持ちの企業様は、ぜひお気軽に弊社までお問い合わせくださいませ。
このコラムを書いた人

グローバル・デイリー / 海外消費者リサーチ・トレンド分析担当
アジア各国の“今どき”消費動向や人気商品のヒット要因を日々ウォッチ。 SNS分析や現地メディアの調査、商談現場の声などをもとに、インバウンド施策や越境マーケティングに役立つ情報をお届けします。 「実際に、現地でウケている理由は?」「数字の裏にある文化背景は?」──そんな疑問にこたえる視点を大切にしています。