第1回:「信教の自由が示す国々の違い」~法律で巡る日本と世界 ~
法律が異なれば文化や価値観が異なるー。
法律で巡る日本と世界「信教の自由が示す国々の違い」について、読み解いていきましょう。
日本国憲法は信教の自由(第20条1項)が定められています。どのような宗教を信じても、信じなくてもいいというものです。
日本人の7割以上が信仰や信心を持っていないと公言しています(統計数理研究所「国民性調査」2013年)。2018年に行われた調査では、「何らかの宗教を信仰している」(冠婚葬祭時だけの宗教を除く)が36%、「信仰している宗教はない」が 62%という結果も出てます(NHK放送文化研究所「ISSP国際比較調査」2019年)。日本は人口に占める「無宗教」の割合が高い、世界でも有数の国です。
日本の他では中国や韓国、アメリカも同じように信教の自由の憲法が定められていますが、世界を見渡すと異なるようです。イスラム教やカトリックなど国民に信仰させるための法律などで認めたり、保護したりする宗教を国教として憲法で定めています。
国教の人口としてはイスラム教が約9億人、キリスト教で2億人にも上ります。国教のある国で定められた宗教のイスラム教やカトリックの文化は国民一人一人に、根付いている価値観で、その価値観を理解することが重要です。ここでは、イスラム教やカトリックの文化や慣習についてみていきましょう。
外務省:スーダン 2019年、モーリタニア、アフガニスタン2020年、モルディブ、ジブチ、2021年、リビア、ソマリア、レバノン、サウジアラビアは2022年、そのほかの国は2023年データ。世界遺産ガイド-イスラム諸国編-参考。
イスラム教の文化・慣習
ハラール(許された行動や物)とハラーム(禁じられた行動や物)の考え方を元に生活します。飲食において、アルコールや豚肉の飲食は禁止。豚由来の成分が入っている調味料や、みりんもNGです。また豚肉以外の動物性の食材にも決まりがあり、処理の仕方によっては食べられません。イスラム法の定める適正な方法で処理、加工された食品であると証明された食品または飲食店にはハラール認証が付きます。イスラム教徒が海外旅行をする際には、ハラール認証の店であるかが重要になるのです。ハラール認証の店を外国で調べるのが難しいため、日本で行ったことがあるまたはインフルエンサーの情報口コミで聞いたお店しか行かないというイスラム教徒の方もいました。
キリスト教(カトリック)の文化・慣習
基本的に食に関する禁止事項はほとんどありませんが、一部アルコールやお茶が禁じられています。また、人工授精、避妊、同性愛などを制限するべきだという考え方があるため、そのような話題は避けた方が無難です。西洋・欧米諸国は契約や法律を特に重んじるイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、それはキリスト教の考え方による影響とも言われています。
宗教の違いを理解することは、外国の方を理解することにも一歩近づきます。
第2回は「選挙の義務化と民主主義の形」についてお送りいたします。