日本が迎える訪日外国人最大ラッシュ、2025年旧正月の国別旅行動向
毎年旧正月の連休は、全世界の中華圏の人々が大規模に移動する期間として知られています。家族が集まり新年を祝う伝統的な理由だけでなく、連休を利用した海外旅行需要も年々増加しているのが現状です。
日本政府観光局(JNTO)の推計では、2024年の訪日外国人旅行者数が約3,500万人に達し、旅行消費額は8兆円と過去最高を記録する見込みです。2025年にはさらに増加し、訪日旅行者数が4,200万人に達すると予測されています。特に旧正月期間中は、中国、韓国、台湾、香港といった東アジア地域からの旅行者が大幅に増加する見通しです。
旧正月(春節)を祝う国々は、中華圏の文化の影響を受けた国や地域が中心で、中国、台湾、香港、マカオ、韓国をはじめ、ベトナム、シンガポール、モンゴル、マレーシア、インドネシアといった東南アジア諸国でも祝日とされています。旧正月は通常、冬至後の2番目の新月の日に設定されるため、毎年西暦の日付が異なります。2025年の旧正月は1月29日(水)にあたり、各国では前後の連休を合わせた大型連休となっています。
各国の2025年旧正月連休期間
- 中国: 1月28日(火)〜2月4日(火)の8連休
- 台湾: 1月25日(土)〜2月2日(日)の9連休
- ベトナム: 1月25日(土)〜2月2日(日)の9連休
- 韓国: 1月28日(火)〜1月31日(木)の3連休
- 香港: 1月28日(火)〜1月31日(木)の3連休
※ 3連休の国でも、多くの人が前後の平日(例: 月・金)に休暇を取り、7日間の連休を確保する傾向があります。
2025年旧正月連休で、国別で以下の海外・訪日旅行傾向が目立っています。
中国
2024年12月25日、日本外務省が中国人観光客に対するビザ(査証)緩和措置を発表して以降、訪日中国人観光客がさらに増加する見込みです。また、2025年の春節に向けた海外旅行の予約状況はピークに達し、春節期間中の国際線航空券とホテルの予約は前年の2倍以上に増加。予約された旅行先の都市数も前年より157都市増加しています。
中国国内の人気旅行先と比較して、海外旅行先のコストパフォーマンスが高くなっています。データによると、春節期間中の往路航空券価格は前年比12%下落、ホテルの平均価格も昨年より約10%低下しています。お得に海外旅行ができるこのチャンスに、「逆に」海外旅行を選ぶ若者も増加中です。(参照:去哪儿旅行 Qunar )
台湾
台湾では9日間もの春節連休を活かして、特に北海道へのスキー旅行が引き続き高い人気を誇ります。しかし、欧米からの観光需要も重なり、宿泊施設の不足や航空券価格の高騰が課題となっています。そのため、一部の旅行者は他の旅行先への変更や、パッケージツアー商品を予約する傾向にあります。
ベトナム
ベトナムの旧正月(テト:Tết)は、1週間以上の長期休暇が特徴で、家族旅行や友人同士のグループ旅行が主流です。旧正月シーズンのパッケージツアーやホテル、航空券の予約は好調で、パッケージツアー料金が前年同期比で5~15%上昇しているにもかかわらず、需要は依然として堅調です。人気の旅行先として、国内ではダラット、フーコック、ファンティエットが挙げられ、海外では日本、韓国、タイ、欧州、北米が選ばれています。
韓国
韓国では、為替の影響を受けにくいコストパフォーマンスの良い旅行先に注目が集まっています。特に物価が比較的安く、気候が温暖な東南アジア、飛行時間が短い中国や日本は、為替上昇の影響を受けつつも引き続き人気を集めています。Hana TourやModu Tourといった主要旅行会社の12月の送客実績によると、東南アジアがそれぞれ49%、58%で最も高い割合を占め、次いで日本、中国の順となっています。両旅行会社とも短距離地域が全体の80%を超える割合を占めています。また、済州航空旅客機事故に関連した国家哀悼期間が4日12時で終了したことを受け、旅行会社は慎重ながらも海外旅行需要の回復に向けたマーケティングを再開しています。業界では、昨年の戒厳令や高為替レートなどによる不振を挽回するため、旧正月や三・一節の連休をターゲットにした募集活動を本格化しています。1~2月の予約状況は前年と同程度か、やや増加傾向にあるとされています。(参照:韓国経済)
香港
香港航空は2024年12月18日から仙台線を新規開設(週3便直行)し、鹿児島線の定期便を週4往復に増便、さらに広島線の直行便も2025年1月に約4年8カ月ぶりに再開しました。これにより、台湾を含む長期休暇を取る旅行者にとって、日本各地へのアクセスがさらに拡大しています。(参照:香港航空)
また、Booking.comが発表した2025年の旅行トレンドによると、香港の旅行者の約71%が昼間の混雑を避け、夜の魅力を楽しめる場所を求めて旅行先を選んでいます。さらに、文化的背景の影響で、家族全員が参加する「多世代旅行」が香港で普及しつつあり、2025年には「SKI休暇(Spending Kids’ Inheritance:子どもたちの遺産を使う)」という考え方が広がっています。このトレンドでは、資産を残すよりも家族全員で楽しむことを優先する傾向が強まり、調査によると、ベビーブーム世代の86%が子どもの旅行費用を、62%が孫の旅行費用を喜んで支援しているとされています。さらに、Expediaが公開した2025年の新しい旅行トレンドでは、2023年9月1日から2024年8月31日までのデータを基に、日本の福岡への訪問率が前年同期比で26%増加したことが示されています。また、68%の香港旅行者が次回の旅行先として福岡のような目的地を選ぶ可能性が高いとされています。 (参照:U Travel)
2025年の旧正月連休では、各国で海外旅行需要のさらなる増加が見込まれており、日本は引き続き人気の旅行先として注目されています。この春節期間は、訪日外国人旅行が本格的に回復する重要な節目となることが期待されています。
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