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コラム

【韓国】変わりゆく韓国情勢 日本への旅行への影響は?

韓国が「非常戒厳」を巡る混乱で揺れています。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は12月3日夜、政治活動や言論の自由を制限する非常戒厳を出しましたが、国会の決議を受けて約6時間後の4日未明には解除しました。こうした状況の中、尹大統領に対する弾劾訴追案の採決が進められるなど、韓国国内は政治的な緊張が高まっています。この事態が海外旅行、特に日本への旅行にどのような影響を与えているのか、現時点での状況を整理しました。

8日午後、ソウル汝矣島の国会前で開かれた「尹錫悦大統領の弾劾および拘束を求めるろうそく文化祭」で、参加者たちが関連スローガンの書かれたプラカードや応援スティックを掲げている様子。2024年12月8日【写真=聯合ニュース】

8日午後、ソウル汝矣島の国会前で開かれた「尹錫悦大統領の弾劾および拘束を求めるろうそく文化祭」で、参加者たちが関連スローガンの書かれたプラカードや応援スティックを掲げている様子。2024年12月8日【写真=聯合ニュース

旅行業界は?

戒厳令がすでに解除されており、海外旅行に対する出国制限は一切ありません。そのため、旅行キャンセルの動きはほとんど見られていません。ただし、今回の騒動によりウォン安や株価の下落に伴いドル高が進み、それにより航空券の価格が上昇しつつあります。旅行会社には「戒厳令が再び発令された場合のキャンセル料」や「渡航先での安全状況」についての問い合わせが増えています。航空会社にも非常戒厳令の宣言直後から航空券のキャンセルに関する問い合わせが多く寄せられているものの、大規模なキャンセルは発生していないようです。

日本旅行に対する動向と旅行者の心理

韓国の最大検索エンジンポータル内にある日本旅行専門のコミュニティや、その他の掲示板などでは、旅行自体をキャンセルする動きは見られていません。一方で、「円がウォンに対して急騰していて心配だ」や「事前に両替しておいてよかった」というコメントが多く寄せられています。このような反応から、為替変動が旅行者の心理に影響を与えていることがうかがえます。円高やドル高による航空券価格の上昇に加えて、旅行者の購買行動にも変化が見られます。(参照データは2024年12月10日時点での情報に基づいています。 ウォン・円為替推移

「これからさらに値上がりするかもしれない」という懸念から事前購入を進める動きがある一方で、旅行先での物品購入を控え、ECサイトや体験型消費にシフトする人も増えているようです。

社会情勢は、旅行にどんな影響を?

尹錫悦大統領の退陣を求める運動が加速しており、週末には国会議事堂前で大規模デモが行われています。このデモにはMZ世代の女性を中心とした新たなトレンドが見られ、K-POPを熱唱しながらLED応援棒を振るスタイルが注目されています。この現象が流行化していることから、特に週末における日本旅行の需要に影響が出る可能性はあるかと思います。一方で、公務員や議員による海外視察の延期が相次いでおり、政治的混乱が長引けば、一般旅行者の海外旅行需要にも影響を及ぼすことが懸念されます。

混乱した社会情勢が長期化しない限り、年間で最も海外旅行需要が高まる冬季シーズンに大きな影響が出ることは考えにくいです。ただし、為替変動や社会情勢の不安定さが続く場合、旅行先での消費行動の変化や一部旅行需要の縮小が予想されます。旅行業界は変化する状況に柔軟に対応し、旅行者にとって安全性や価格面での安心感を提供することが求められます。旅行者にとっても、現状を踏まえて「いま何を優先すべきか」を考えながら、慎重に状況を見極めつつ、安心して旅を楽しめるタイミングを見計らうことが重要と言えるでしょう。