
韓国|「氷結マジック」──旅先のひと口が国境を越えてブームになるまで
韓国の若年層を中心に、コンビニ商品のアレンジが注目を集めてたのご存じでしたか?

出典元:Instagram①、②、③
代表的な例は「アイスの実」に氷結を注いで飲む飲み方で、炭酸の爽快感とフルーツの甘み、シャーベット状の食感を一度に楽しめる点が支持されております。
これらは、韓国の旅行者の間では日本滞在中の「楽しい体験」であり、SNSでの拡散を通じて帰国後も話題が続いております。

出典元:日間スポーツ
さらに、2025年7月30日には氷結が正式に韓国市場へ進出し、現地での購買機会が拡大したことで、このトレンドは一過性ではなく継続的な広がりを見せております。
「ノージャパン」ムードの終わりと日本のお酒の人気復活
アサヒの生ビール、サントリーのウィスキー、獺祭など、ここ数年で韓国の酒市場は大きく変化しております。
かつての「ノージャパン」ムードは遠のき、アサヒは再び輸入ビール市場のトップに返り咲き、清酒の輸入も記録更新の勢いを見せております。
韓国関税庁の統計によりますと、2025年上半期(1〜6月)の日本ビール輸入量は計4万3,676トンと史上最高を記録し、前年同期比10.2%増となりました。これまでの最大であった2018年(4万2,962トン)を上回っております。
清酒も同様に、同期間で3,330.2トンと前年同期比9.8%増加いたしました。業界関係者は「このペースであれば昨年の過去最高を超える可能性が高い」と述べております。2020年には6,490トンまで落ち込んだ日本ビールが、わずか数年で完全復活を遂げた形です。
この背景には、「ノージャパン」運動の風化と、海外旅行経験が豊富な若年層を中心に「美味しければ国は問わない」という意識が浸透していることが挙げられます。
例えば、札幌黒ラベルは、2025年7月からソウル・聖水洞において「サッポロ プレミアム ビアスタンド」を期間限定でオープンいたしました。最大3杯までの生ビール提供とブランド体験空間を用意し、多くの来場者で賑わいを見せました。この背後には韓国市場におけるブランド浸透戦略があると筆者は考えております。実際、銀座の札幌黒ラベルを訪れる韓国人観光客は以前から多く、その人気を現地イベントに結びつけた施策といえます。
韓国市場との相性を読む
氷結が韓国で受け入れられた理由は、単なる「低アルコール+フルーツフレーバー人気」だけでは説明しきれません。重要なのは、“体験価値”の高さでございます。
韓国では飲料を味だけでなく「シチュエーション込み」で楽しむ文化があり、また旅行中に覚えた飲み方は帰国後も再現する人もいます。氷結はその記憶を呼び起こすトリガーとして機能しております。
さらに近年、韓国の都市部では「SNS映え」だけでなく、自己主張ーー“自分だけの体験”を重視する層が増えており、氷結のカスタマイズ性や遊び心は、その需要に合致しております。
広がりのヒントは「旅の記憶を商品化」
氷結の成功は、体験を物語化し、商品価値に変換する力を示しております。
- 旅行先で味わった飲み方を、帰国後も購入できる形で提供する
- ポップアップやイベントで現地体験を再現する
- 現地文化や流行とのコラボレーションで話題を創出する
こうした施策は、旅行者の思い出をブランド資産へと転換することを可能にいたします。
インバウンドこそ、すべての始まり
氷結ブームの出発点は、日本での一杯でございます。
旅先での特別な味は、国境を越えて心に残り、その記憶が次の旅行や次の購入を呼び込みます。日本で一口飲んだ瞬間から、物語は始まっております。インバウンドを仕掛けることこそ、すべての始まりであるといえるでしょう。
このコラムを書いた人

グローバル・デイリー / 海外消費者リサーチ・トレンド分析担当
アジア各国の“今どき”消費動向や人気商品のヒット要因を日々ウォッチ。 SNS分析や現地メディアの調査、商談現場の声などをもとに、インバウンド施策や越境マーケティングに役立つ情報をお届けします。 「実際に、現地でウケている理由は?」「数字の裏にある文化背景は?」──そんな疑問にこたえる視点を大切にしています。
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