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コラム

ソンクラーンのタイ人訪日傾向と円高の影響

タイ人訪日旅行の動向

日本政府観光局(JNTO)のデータによると、タイからの訪日観光客数は2019年に約132万人を記録しましたが、コロナ禍を経て2024年には約114万8,900人まで回復しました。訪日タイ人の消費額も増加傾向にあり、2019年の 1,732億円 から2024年には 2,265億円 に拡大しました。円安の影響でタイ・バーツの価値が上昇し、日本でのショッピングや宿泊費に対する 「お得感」 が高まったことが、この消費増加の要因とみられます。さらに、今月には ソンクラーン期間(2025年4月12日〜16日) が控えています。タイ人旅行者にとっては長期休暇の絶好のタイミングでありますが、訪日旅行への関心は高いものの、 円高に対する影響 の懸念も拭えません。ここでは、ソンクラーン期間のタイ人訪日傾向と円高の影響について詳しく見ていきます。

ソンクラーン期間の旅行傾向とタイ政府の国内施策

タイ政府は、2025年の ソンクラーン期間 に国内観光促進のため、国内線運賃の 30%割引25,000席の増便 を発表しました。また、ソンクラーン関連イベントには 1億8,300万バーツ(約8億円) を投入し、観光収益として 265億バーツ(約1,200億円) を見込んでいます。

また、Klookの調査によると、 2025年のソンクラーン期間中、50%以上のタイ人が事前に海外旅行を予約 しており、人気の旅行先は 日本・中国・香港 となっています。
特に 日本 は、タイ人観光客にとって依然として最も人気の高い旅行先です。親日国としても知られるタイは保守的な国民性で、一度いいと思った商品をリピートする傾向があります。しかし近年、タイ人旅行者の旅行スタイルには変化が見られ、観光地でのアクティビティを重視する傾向が強まっています。近年は 「アクティビティ重視の旅行スタイル」 へと変化。若年層を中心に、遊園地・クルーズ・音楽ライブ・スポーツ観戦など、特別な思い出を作る 「体験型旅行」 への関心が高まっています。

 

円高の影響は限定的か?

2024年後半から円安基調が反転し、2025年には 円高傾向 へとシフトする可能性が示唆されています。これにより、一部の訪日観光客にとって日本での購買意欲に影響が出る可能性が指摘されていますが、FXStreetの報道によると、アメリカのトランプ大統領の各国の関税計画は当初予想されていたよりも範囲が狭く、円高の影響も少ないだろうという予測がされています。この予測により、市場のリスクが抑えられ、安全通貨である円の急激な上昇も抑制される可能性もあります。さらに、アメリカとロシアの黒海停戦交渉の影響もあり、円の急激な上昇は鈍化すると見込まれています。タイ人観光客に関しては 「円高の影響は限定的」 という見方が優勢です。 2023年のタイ・バーツは 1バーツ=4.0350円、2024年も 1バーツ=4.2911円 と、大幅な変動は見られず安定しています。そのため、円高が訪日旅行に与える影響は他国ほど大きくはないと考えられます。

・タイに向けた効果的なインバウンドプロモーション

2025年のソンクラーン期間中、日本への訪日意欲は依然として高い水準を維持する見込みです。特に 「アクティビティ重視」「地方都市探索」 といったニーズを満たすプロモーション戦略が重要になります。タイ市場からのインバウンド集客を最大化するには、以下の 3つのアプローチ が効果的です。

・タイ人向け「アクティビティ重視型パッケージ」の販売

若い世代のタイ人観光客は、観光地巡りだけでなく 特別な体験型ツアー を求めています。日本国内の テーマパーク・クルーズ・スポーツ観戦・花見やスキー体験 など、アクティビティを中心としたプランの打ち出しが重要です。

・地方都市での「特別体験プログラム」の推進

日本の地方都市では、混雑を避けながら 新たな観光体験 が可能です。温泉、文化体験、ローカルフードツアーなど、タイ人観光客向けの 地域限定プログラム を積極的に発信することで、訪日意欲をさらに引き上げることができます。

・SNS広告・KOL(インフルエンサー)連携による訴求

タイ市場では、SNS や KOLを活用した情報発信が非常に有効です。ターゲット層の購買意欲を刺激する強力な手法となります。

2025年ソンクラーンはインバウンド市場拡大の好機

円高傾向が進んでも、タイ人観光客の訪日意欲は依然として強く、2025年のソンクラーン期間は 「特別な体験型旅行を求めるタイ人観光客」 にとって日本が引き続き最有力候補となるでしょう。
日本ならではの体験型アクティビティや地方都市の魅力を、タイ語対応のWEBメディア・SNS広告 を通じて継続的に情報発信することで、一度いいと思ったものをリピートするタイ人へのブランディングの確立にもつながるでしょう。

このコラムを書いた人

藤田(Fujita) プロフィール写真
藤田(Fujita)
グローバルデイリー / 広報部
媒体部兼進行部の経験を経て、海外のプロモーション会社や出版社とのパートナーシップを築いてきた。各国のトレンドや需要を抑えながら、企業のニーズに沿ったインバウンドプロモーションについて長年にわたり従事。

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