【中国】ユネスコ無形文化遺産登録後、初の春節(旧正月)の旅行・消費者動向をウォッチ
ユネスコ(国連教育科学文化機関)政府間委員会において中国の伝統的な新年を祝う中国人の社会的実践「春節(旧正月)」が無形文化遺産に登録された後、初の春節を迎える中国。2025年は1月28日(火)〜2月4日(火)の8連休となりますが、多くの中国人が1/26(日)や27(月)で休暇を取り11連休にする傾向もあります。海外の春節の長期休暇中、メールマガジンで配信している中国現地のニュース内容をもとに、中国人の海外旅行の動向について見ていきましょう。
春節旅行の出入国状況
北京青年報によると、国内外の人気目的地への往復航空券の売れ行きはかなり好調で、出入国航路の予約は前年同期比の40%増。往路の平均運賃は約2,010元で、前年比13%増となっています。長期休暇中に、東京やバンコク、香港などの人気の目的地へ海外旅行をする人の数が増えています。日本を含む東南アジアのスキー場の格安チケットが多く販売され、冬の旅行の新たな選択肢の一つとなっています。中国のスキー場では人工雪を使用している場所が多いため、日本の雪質のよさを目当てにくるスキーヤーもいるほどです。
海外旅行の価格 逆転現象
国内より海外旅行がお得という逆転現象がおきています。クナールビッグデータ研究所によると、春節期間中は同窓会や国内の短距離旅行のために帰省する人が増える傾向があると分析しています。国内旅行の増加によって、国内の主要観光都市では、春節休暇中に程度の差はありますが、中国国内の物価が上昇するだろうと予測されています。中国の春節期間中は、中華圏以外のほとんどの外国が休暇にならないため、観光客の数も少なく、価格の変動も少ないため、国内旅行よりも海外旅行の方が安くなるという「逆転」現象が起こりつつあります。春節期間中の往路航空券の価格は前年比12%下落。人気の目的地の中でも、日本の東京を含めた6都市の航空券が20%下落するなど、海外旅行への割安感により注目を集めてます。お得であることで、行ってみようかなというのは万国共通だと思います。
中国のZ世代のトレンド消費
春節期間中、日本への旅行者も多いと予想される中国人のZ世代の消費トレンドについてみていきましょう。中国では、1995~2009年生まれの「Z世代」の人口が、2019年時点で約2億6,000万人を超えており、非常に重要な消費者層になります。Z世代の消費トレンドは自身の趣味や興味に関連する消費を行う「快楽消費」と、複数の媒体で注意深く価格を比較し、コストパフォーマンスを重視する「理性消費」の大きく2つに分かれます。
Just So Soul研究所によると、「2023年より出費が増えた」との回答率は35.5%。出費額に変化があった主な理由として、「消費ニーズの変化」(42.5%)や「消費心理の変化」(35.1%)などが挙げられました。また、消費心理に関する質問に対し、Z世代の回答者のうち40.1%が「快楽消費、情緒的価値・趣味のために消費する」と回答し、全体の半数近くを占めています。旅行・アウトドア関連、ゲーム関連、エンターテインメント関係の消費が活発なのが特徴です。また、中国新聞社傘下であるメディアの中新経緯研究院の「2024ダブルイレブン消費洞察報告」によると、「理性消費が戻ってきた」(61.6%)との回答が最も多く、次いで「品質と価格のバランスが取れている」が52.7%。消費者の快楽消費をいかに刺激し、理性消費がバランスがとれた商品または体験であるかをPRすることはキーになってくるでしょう。また、SNSでの発信力が高いところも、Z世代がほかの世代と比べ重要なファクターとされる理由のひとつです。中国人のSNSの事情について、次の項では触れていきます。
中国のSNSトレンド
中国のインバウンド対策やグローバル展開を考えている企業において中国のマーケティンにおいて、重要なSNS。TikTokの代わりとして利用者が増えている小紅書(レッドノート)のほかに、中国でよく使用されるアプリを3つご紹介します。
馬蜂窩(マーフォンウォー)
・一般ユーザの長文旅行ブログで詳しい内容が見ることができる。
・ホテルやチケット(テーマパークなども含めて)の値段まで調べることができ、旅行商品も含め、直接購入が可能。
微博(ウェイボー)
・日本関連情報をシェアするアカウントが多く、参考として使うことが多い
・公式アカウント(日本百貨店など)などからPR投稿が多く、日本の情報をキャッチしやすい
・中国版X(Twitter)と類似性の高いツール
Ctrip(シートリップ)
・最新中国₋日本の出入国政策などがみられる。
・旅行ブログがあり、旅程の参考になる記事がある。
・ホテルやチケット(テーマパークなども含めて)の
値段も調べることができるし、直接購入もできる。
日本企業が中国の若者向けにマーケティングを行う上では、Z世代の関心や流行などに関連するマーケティングや、情報をもとにSNSプロモーションを使用したユーザーへの継続した周知は非常に重要です。2024年の観光庁からの速報で、中国の訪日外国人旅行消費額は、17,335億円、前年比+128.0%。日本の外務省が中国人観光客に対するビザ(査証)緩和措置を発表して以降、ビジネスや観光などの目的による30日以内の短期滞在のビザなしでの渡航で今後も伸びしろのある市場です。また、多くのZ世代が日常的にSNSを駆使し、日々のあらゆるできごとを発信しているZ世代の動向も注視しながら国土も広く中国独自の事情を正確に理解し、それに合わせた戦略を練る必要があるでしょう。
【メールマガジンより配信した 参考記事一覧】
・データによると、2025年春節の海外旅行予約はすでにピークに達しています
・去哪儿:春節の出国航空券の価格は前年同期比で12%下がります
・2025年中国春節の海外旅行予約量が徐々にピークに入ります
・馬蜂窝:「年越しの穴場」が人気、ここ1週間で前期比128%上昇です
・休日2日増やし11連休で「高週波乗り換え」が発生、航空券を複数枚購入する割合が5割増しになります