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コラム

2024 台湾デジタル白書  インターネット普及と変化するソーシャルメディアの風景

先日、台湾ネットワーク情報センター(TWNIC)が発表した「2024年台湾インターネット白書」によると、台湾のインターネット普及率は88.39%と高水準で、デジタル社会の進化が加速しています。特に、若年層ではTikTokやInstagramといった短編動画プラットフォームが主流となり、18~35歳の層がこれらで積極的にコンテンツを消費している一方、中高年層ではFacebookが引き続き情報収集や交流の要として利用されています。こうした世代ごとの違いは、マーケティング戦略においても、それぞれのプラットフォーム特性に応じたターゲティングが不可欠であることを示しています。

image source : 台湾ネットワーク情報センター(TWNIC)

台湾ネットワーク情報センター(TWNIC)とは?

台湾ネットワーク情報センター(TWNIC)は、台湾における国家級のネットワーク情報センターであり、非営利の財団法人組織です。1999年12月29日に設立され、主管機関は数位発展部(デジタル発展部)です。TWNICは、台湾におけるドメイン名の登録やIPアドレスの割り当てを統括する唯一の中立的な組織であり、国内外のインターネット関連組織との交流や協力を促進しています。また、国内のインターネット利用の普及や情報サービスの統合・交換を支援し、政府の各種業務やネットワーク情報に関する公益事業の推進にも協力しています。

デジタル格差と支援の必要性

台湾社会では、デジタル教育が進む一方で、高齢者や低学歴層におけるデジタル格差が課題として浮き彫りになっています。未利用者の主な理由は「高齢」「デバイスの不慣れ」であり、適切な支援があれば8.94%がインターネットを利用したいと回答しています。また、42.01%がオンライン情報の真偽確認に自信がないと答えており、デジタルリテラシー向上が急務とされています。(デジタル格差分析

台湾のオンラインサービス利用動向

image source : 台湾ネットワーク情報センター(TWNIC)

若年層では、InstagramやTikTokが主流となりつつあります。特にInstagramは、TikTokの台頭に対抗するため、短編動画やエンターテインメント機能を強化しています。この結果、18~35歳の若者がこれらのプラットフォームで積極的に情報やコンテンツを消費するようになりました。 一方、中高年層におけるFacebookの人気は根強く、35歳以上の75%がFacebookを主要な交流手段として利用しています。この層にとって、Facebookは情報収集やコミュニケーションの要として機能しています。このことから、マーケティング戦略も年齢層に応じて大きく異なる必要があります。

電子商取引(EC)
ネットショッピングの利用率は48.57%で、特に18~39歳の層で高い傾向が見られます。

image source : 台湾ネットワーク情報センター(TWNIC)

オンライン金融サービス
モバイル決済の利用率は33.40%で、30~39歳および大学・大学院卒業者で特に高いです。
暗号通貨の保有率は2.30%で、主に男性、18~29歳、大学以上の学歴を持つ人々に多く見られます。

教育関連サービス
電子書籍の利用率は22.76%、オンライン学習の利用率は25.18%で、若年層や高学歴者で高い傾向があります。

動画エンターテインメント
無料のオンライン動画サービスの利用率は70.73%で最も高いですが、前年と比較して微減しています。
一方、定額制の有料動画サービスの利用率は26.80%で、特に18~29歳の層で顕著な増加が見られます。

image source : 台湾ネットワーク情報センター(TWNIC)

ソーシャルエンターテインメント
オンラインゲームの利用率は30.89%、オンライン交際の利用率は5.61%で、いずれも18~29歳の若年層で高い傾向があります。

デリバリーサービス
過去3か月以内に飲食デリバリーサービスを利用した人は31.31%で、18~39歳の層および大学以上の学歴を持つ人々で利用率が高いです。

ソーシャルメディア
ソーシャルメディアの利用率は73.36%で、その中でFacebookが最も多く利用されていますが、主要な利用率は減少傾向にあります。

即時通信サービス
70歳未満の層では80%以上の利用率を示し、70歳以上の高齢者でも利用率が増加しています

image source : 台湾ネットワーク情報センター(TWNIC)

 

台湾のデジタル社会は、インターネット普及率の高さや多様なプラットフォーム利用が特徴で、世代ごとのニーズや行動の違いが明確に表れています。一方で、デジタル格差やAI技術のリスク、サイバー攻撃への対応といった課題も多く、これらへの理解が求められています。
こうした背景を踏まえ、企業が台湾市場で効果的に成果を上げるためには、世代やプラットフォームの特性に応じた戦略の柔軟な設計が不可欠です。たとえば、TikTokやInstagramが主流の若年層と、Facebookを重視する中高年層の違いを把握し、的確にアプローチすることが重要です。

デジタル社会が抱える課題と可能性を正確に見極めながら、台湾市場に適したマーケティング施策を実行することが、これからの競争力を高める鍵となるでしょう。