YouTalk|VOL. 04 BEHIND THE BOSS:インバウンドを「輸出」するマスタープランは?
グローバル・デイリーでそれぞれの役割を担い果たしているセクションと、そのメンバーの一員である、百人百色の “YOU”にフォーカスし、仕事の話、業界の話、考え方の話などを “TALK”しながら、インバウンドプロモーションの「今」をつくる人たちからのヒントを探す、インタビューコラム <YouTalk>
4回目は、グローバル・デイリーのBOSS。「船長」を自称し、訪日インバウンド市場の黎明期から、いくつもの荒波を乗り越えながら「訪日外国人をハッピーにする」というビジョンに向けて、つねに次のステップを望遠し、事業のエンジンを束ね続ける「YOU」との「TALK」を公開します。
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THEME:BEHIND THE BOSS:インバウンドを「輸出」するマスタープランは?
TALK: “中原 宏尚” - 株式会社グローバル・デイリー 代表取締役
DATE:2019.10.3
PLACE:グローバル・デイリー 茶室
Q:グローバル・デイリーのヒストリーは、HPにて紹介されていますが、代表として、今までの会社の歴史の中で「劇的な瞬間」を3つ挙げるとしたら?
中原 宏尚(以下、BOSS):
劇的な瞬間ですか…毎日が劇的だなと思っている今この頃なので、例えばどんな瞬間ですかね…
Q:そうですね。例えば「電撃が走った」とか、「ひっくり返るほどの変化」とか、「涙が止まらなかった」とか…
BOSS:
涙が止まらなかった瞬間は、最近でもしょっちゅうありますけど(笑)
3つ挙げるとしたら…まずは、世の中に「ランドオペレータ」という存在を知ったことですね。インバウンド事業を始めようと思ったきっかけでもあるんですが、日本現地で訪日旅行の商品を作っている彼ら(ランドオペレータ)との出会いから、海外から日本の魅力を感じる視点は国それぞれで、訴求するメディアもテイストも様々であることを実感するようになり、今の「インバウンド」と「広告」の間にはギャップがあることを感じた瞬間が記憶に残っています。
次に、震災(3.11)と、尖閣問題(9.11)を乗り越えて、JAPANKURUのローンチを経て、当時・インバウンド事業部(グローバル・デイリーの前身)の予算を達成したときです。本当の意味で「達成」を感じた瞬間で、今の法人化への源泉となった経験でもありました。
もう一つは、香港の「長空出版(現・SKYYER)」との出会いです。彼らは繁体字圏でトップシェアの海外旅行ガイドブック「終極天書」を発行していて、ほぼ直感でインバウンドメディアの可能性を直感し、即座に香港へ飛び、日本独占媒体契約を交わしました。この出来事が、後につづく美容先生KOL(Kevin 先生など)や台湾TVメディア(TVBS、三立など)グローバルデイリーの中華圏メディア開拓の導火線となりました。
Q:そうなんですね。国際情勢の変化は、インバウンドビジネスの潜在リスクとして常にあるものですが、大きな荒波をいくつも超えての目標達成はかなり力強い記憶ですよね。でも、そんな中で一度は「やめたい」と思った時もあったのではないでしょうか?
BOSS:
正直、一度だけではないですよ(笑)。あまり詳細には言えないけど、全く自分にモチベーションのない事業の社長を勧められたときとか、サンフランシスコのシリコンバレーの関係者と会話していると、変革のスピードが速く広すぎて、本気で学びたいと思うとき。などなどですかね。
Q:意外とあるんですね(笑)。でも、気持ちはすごくわかります。
では次に、ベトナムでの事業の話を聞きたいのですが、現在、ベトナムでのメイン・ビジネスは何でしょうか?
BOSS:
事業の根幹は大きく二つあります。ひとつは「訪越外国人の誘致に向けたPR」です。シンプルに「ベトナムインバウンド事業」で、これはグローバル・デイリーが培ってきた訪日PRソリューションのスキームを活用し、インバウンドの発展途上にある国々に適用する「輸出」と言えるでしょう。
もうひとつは、訪日インバウンドの延長線上で、ベトナム・ホーチミン現地にローンチした「JAPANKURU Lounge&Bar」をハブとし、潜在する訪日ベトナム人向けに、魅力的な日本のコンテンツを発信するとともに、日本企業の現地法人向けにPRソリューションを提供する事業です。
Q:ベトナム事業からもうすぐ1年ですが、現地の反響はどうですか?
BOSS:
前述した二つの事業ががバランスよく動いています。現地の旅行業界とのお仕事も、大手を中心にいい関係値をどんどん築いているし、日系企業の現地法人の皆様や、行政の方々などとも幅広くビジネス展開をさせていただいています。
<JAPANKURU Lounge&Bar>は「さとみ先生の日本語教室」など様々なイベントを開催することで、ホーチミンの日本好きにとって日本の様々な情報コンテンツを発信するホットスポットとして定着しつつあり、また、日系企業や地方観光のプロモーションスペースとしても機能しています。
今後は、グループ社であるDAC HDが運営する、北海道の「NIKI HILLSワイナリー」の「HATSUYUKI」ワインをベトナム現地で展開するなど、ブランドローカライズのプランも計画しています。
Q:「インバウンド」というビジネスモデルを海外に置き換える取り組みの第1弾として、ベトナム事業があると思うのですが、この構想はいつから考えていたのでしょうか?
BOSS:
このアイディアこそが、3.11に代表される逆境から授かったプレゼントですね。我々が追及していた「Link the World」は間違っていなかった。その国を訪れる人々をHAPPYにすることは、世界共通のミッションである。それに着目したのが、いつまたどんな形でリスクが押しかけてきても、このビジョンとスキームがあれば、国を超えたビジネスモデルになるという考えのはじまりでした。
Q:なるほどですね。最近「クロスバウンド」という言葉をよく耳にしますが、日本企業の海外進出とインバウンドの関係について、どう考えますか?
BOSS:
ベトナムでもそうでしたが、以前は、海外現地法人と本社の連携が想像以上に取れていないケースが多く、それで失われるビジネスチャンスも多々あったと思います。最近になって、インバウンドの成長を機にグローバルPRの分野でその必要性が認識され始めているので、今後は両者間の密接なクロスバウンド化は進んでいくと思います。
Q:グローバル・デイリーの社員構成を見ると、半数以上が外国籍メンバーですが、なぜこれほど多くの外国人を採用しているのでしょうか?
BOSS:
ひと言に「正しいプロモーション」をしたいから。
それは明確で、訪日外国人がターゲットとなるPRなので、なによりも重要なのが、彼らの目線なのです。日本人がつくるクリエイティブにはない共感や、求める情報の伝え方…そのすべてにおいて正しいアウトプットが必要だからです。
Q:多国籍メンバーが半数以上で、共通言語は日本語という面白い社風ですが、経営者と管理者と実務者をつなぐものが3つあるとしたら、それは何でしょう?
BOSS:
①ビジョン ②パッション ③視点 これらを合わせること。その串は「Trust」
Q:では、今の組織の完成度はどのくらいですか?
BOSS:
100点満点で「10点」です(笑)。いい意味でですよ。その分期待値が大きいから、ビジョンに沿って楽しく変えていきたいですね。
Q:あなたは「孤独なボス」ですか?
BOSS:
孤独感はありませんね。なぜなら、共感してくれている仲間が多いから。
BOSS:
まず一つは、ネットワークの柔軟性が起こすインバウンド環境の変化。今後の世代は思考の幅が広がり、アイディアと行動次第で色んなビジネスモデルを作れると思います。
Q:突然ですが、もし、100億円の出資が入るとしたら?
BOSS:
う~ん…微妙な額ですね。ひとつあるとしたら、真っ先に今の会社をMBO(マネジメント・バイアウト)したいですね。あとは、革新のシードマネーとして活用したいです。
Q:では、もしゼロから会社をリスタートするとしたら、何をやってみたいですか?
BOSS:
ゼロからでもこの事業をやると思います。今までやってきたことだし、事業スキームとしては経済的で、いろんなイノベーションの母体になるからです。
Q:イノベーションと仰いましたが、昨今の世界的なIT革新を見ていて、グローバル・デイリーのビジネスにつながる要素があるとしたら、それは何でしょうか?
BOSS:
ネットワークの柔軟性が起こすインバウンド環境の変化ですね。今後の世代は思考の幅が広がり、アイディアと行動次第で色んなビジネスモデルを作れると思います。
Q:日常生活の中で、最近心に残っている不思議な体験はありますか?
BOSS:
こどもの成長を本当にリアルに実感したことです。この間、息子とオセロをしたのですが、幼いころにルールを教えて以来、つい最近までずっと負けっぱなしですごく悔しがっていた姿しか覚えていなかった彼が、なんと私に勝ったのです!それを見ていて、勝つために色々と試行錯誤していたんだろうとは思いつつも「子供って知らないうちにものすごく成長するものなんだな」と改めて体感しましたね。
▲JAPANKURUの取材に出演する隆盛くん(左・次男)と隆盛くん(右・長男)
Q:一言でお答えください。ボスにとって「コミュニケーション」とは?
BOSS:
相手を受け入れること。
Q:最後に、Youtalkのオフィシャルクエスチョンです。何でも構いません。あなた(You)のことば(Talk)を一言、どうぞ。
BOSS:
“やりたいことは、ごまんとある。”