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三越伊勢丹HD、COVID-19でデジタルシフト加速


▲Photo by JAPANKURU

三越伊勢丹ホールディングスは5月11日、2020年3月期(2019年4月1日~2020年3月31日)の決算会見を電話会議形式で開催、新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響や今後の対応について説明しました。

2020年3月期は記録的暖冬や新型コロナウイルスの流行などを受けて、最終損益111億円の赤字となりました。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、インバウンドが減少し始めた3月の売上は前年から33.4%減少し、緊急事態宣言発令により店舗休業および短縮営業が始まった4月は78.1%減、ECおよび一部の食品フロアを除き臨時休業を継続している今月は92.8%減となり、杉江俊彦社長は黒字化の目処について「予測ができない状況。外出自粛要請が数ヶ月続き、その後もしばらく景気が低迷することを折り込んでシミュレーションはしているが、黒字化には大幅なコスト削減を含めた相当な努力が必要となるだろう」と話しました。

営業再開に向けた安全対策費用については、10~15億円のコストがかかる見通し。
安全対策として、来店者の検温のためのサーモグラフィーの設置や店内環境整備、従業員への入館時の検温、マスクの配付、ロッカーや社員食堂などの環境整備などに順次取り組むとしました。

2021年度を最終年度とした中期経営計画は、新型コロナウイルスの影響に伴い計画内容やスケジュールを一部変更。小売ビジネスモデルの改革の一環である館のリモデルは縮小および延期を図ります。

これまで進めていたデジタル分野の強化については、外出自粛に伴う消費行動やライフスタイルの変化を受けて、追加施策を打ち出すとのこと。
ECサイトでは商品やイベント情報を一元化したサイトデザインに6月から刷新するほか、取り扱い商品数を10万型から約15万型に拡充、公式アプリの配信も同月に開始します。
商品の販売だけではなく、ユーザーの嗜好に合った最適な情報をレコメンドするほか、スタイリストへのチャットでの相談や、靴の3D計測サービス、事前に来店予約ができるサービス、店舗の混雑情報の発信、店頭商品の事前決済等に順次対応する予定。

このほか中期経営計画では不動産事業の一部計画の見直し、役員賞与返上をはじめとする追加経費削減策などを行っていくといいます。

なお、新型コロナウイルス感染症の収束の兆しや景気回復の動向が見通せないことから、2021年3月期の通期連結業績予想は現時点で未定とし、7月末に開催する2021年3月期第1四半期決算発表のタイミングで、業績予想を公表する予定とのこと。