観光庁、訪日客の医療実態を調査 旅行保険加入は7割、受入は会話に不安など
Data: 観光庁「訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査(2020.03.27)」
訪日旅行者が日本での旅行中に安心して医療サービスを受けられる体制を整えようと、観光庁は3月27日、訪日旅行者や旅行会社、旅館ホテルなどを対象に実施した実態調査結果をまとめました。
旅行者は7割強が旅行保険へ加入して不慮の事態に備え、受入側は会話対応に一番不安を抱えていることが、今回の調査でわかりました。
訪日旅行者へのアンケートでは、日本での旅行中にケガ・病気になったのが4%で、原因としては「風邪・熱」の55%が最多でした。
医療費をカバーする旅行保険への加入は73.7%と、ここ3年で微増しているもののほとんど変わっていません。
加入方法は43.9%が空港や旅行会社など「特定の場所で購入」し、26.3%がクレジットカードや航空券、旅行商品につく「特定のサービスに付帯」とのことで、アジアからの旅行者は「旅行会社で購入」が最多で、欧米豪は「クレジットカードに付帯」が多いことがわかりました。
旅行保険未加入の理由は、旅行保険の存在を知らない人が55%を占め、28%が加入する必要性を感じておらず、その理由は滞在日数の短さや、欧米豪では体力に自信があるからだといいます。
インバウンド旅行保険の認知度については10%、大手保険会社の同保険の購入割合は約2%にとどまり、周知の拡大が求められる結果となりました。
旅行会社や旅館ホテルへのアンケートでは、訪日旅行者が旅行中にケガ・病気になった経験は、旅行会社が56%、旅館ホテルが48%とほぼ半数が経験しており、訪日旅行者が医療機関へ行くことになった経験は旅行会社が93%、旅館ホテルが90%と、ほとんどが経験しています。
その際の対応で感じた課題は、「会話対応、通訳が十分できない」がトップで、旅行会社が54%、旅館ホテルでは72%にのぼります。インバウンド全盛時代に「言語の壁」は依然解消されていない様子で「外国人対応ができる医療機関がわからない」「外国人から『自分の医療保険契約で使いやすい医療機関』と聞かれてもわからない」と続き、全体的に旅館ホテルが課題と感じる割合が高かったです。
では、その事態に備えての対策はとっているのか。
旅行会社は「普段から外国人対応ができる従業員を配置している」が45%で最多の反面、「特になし」が43%で続く状態で、旅館ホテルでは「特になし」が37%でトップ、「外国語対応できる従業員の配置」は34%で次位となりました。
新型コロナが収束した後、インバウンドの活況が戻ってきたことを見据え、今のうちに対策を進める必要性を感じる調査結果でした。
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