
毎朝7時半、京成上野駅で感じるインバウンドの「今」
毎朝7時半と、夕方7時。京成上野駅を使うたびに、去年のこの時期と比べて何かが違うと感じるようになりました。
特に夜7時前後。成田から京成ライナーで上野に降り立った外国人旅行者たちが、大きなキャリーケースを引きながら改札の列をつくる光景。それ自体はもう見慣れた風景になりました。ただ気になるのは、その数が減るどころか、明らかに増えていること。そしてもうひとつ—顔ぶれの多様さが、目に見えて変わってきています。

📷 京成上野駅、夕方6時半頃。成田からの旅行者が改札口に列をなす。( 筆者撮影)
アジア系が多いのはもちろんで、韓国人旅行者の多さは特に実感します。でもここ最近は、それだけじゃないんです。欧米系、中東系、南アジア系——改札前に立っていると、そこが上野なのか成田なのかわからなくなるような瞬間があります。インバウンドの数字は知識として知っていたつもりでしたが、毎日の通勤でそれを体感するようになったのはここ半年くらいのことだと思います。
その「肌感覚」を裏付けるデータが、先日JNTOから発表されました。
2026年2月 訪日外客数 346.7万人 ―― 2月として過去最高を更新

日本政府観光局(JNTO)が2026年3月18日に発表した推計値によると、2月の訪日外客数は346万6,700人、前年同月比+6.4%。2月として過去最高を更新しました。
今年の旧正月(春節)は2月中旬と、昨年(1月下旬)より約3週間遅い時期にあたりました。この移動が東アジアを中心に大きな需要の押し上げ要因となり、韓国・台湾・香港・タイをはじめ、欧米・東南アジアを含む合計18の国・地域で、2月として過去最高を記録しています。
主な国・地域別の数値は以下の通りです。
🇰🇷 韓国:108.6万人(前年同月比 +28.2%)
🇹🇼 台湾:69.4万人(+36.7%)
🇭🇰 香港:23.4万人(+19.6%)
🇺🇸 米国:21.9万人(+14.7%)
🇨🇳 中国:39.6万人(−45.2%)
■ 「中国−45%」を額面通りに受け取ってはいけないと思います。
一見ショッキングな数字ですが、実態は二層構造になっています。ひとつは、昨年1月に集中していた春節需要が今年は2月にずれたことによる「比較上の歪み」。もうひとつが、中国政府による渡航注意喚起と航空便の減便という「構造的な下押し」です。前者は一時的なものですが、後者は政治動向次第で長期化するリスクがあります。中国市場への依存度が高い企業にとっては、今がポートフォリオを見直すタイミングではないかと思います。
■ 韓国108万人が意味すること
単月108万人というのは、もはや「多い」という話ではないと思います。日本への韓国人旅行が「日常的な移動」になりつつあることの表れではないでしょうか。リピーターが多く、消費単価は低め、滞在日数も短い傾向がありますが、その分だけ来訪頻度は高いです。「いかに1回あたりの消費を上げるか」が、韓国市場攻略の本質的な問いになってきていると感じます。
■ 18市場が過去最高を記録した、という事実の重さ
欧米・東南アジアを含む18市場が2月の記録を更新しました。これは、「日本ブームが特定の国だけのもの」ではなくなってきたことを示しているのではないでしょうか。冒頭で書いた上野駅の風景——あの多様な顔ぶれは、まさにこの数字が体感として現れたものだったと思います。
ターゲット国を絞り込んだ施策だけでは取りこぼしが増えていく時代に入りました。裏を返せば、多言語・多市場で情報発信できている企業には、これだけ大きな市場が広がっているということです。7言語で情報を発信し続けているJAPANKURUが、各国の旅行者から支持される理由のひとつも、そこにあるのかもしれません。
■ 桜シーズンは「例年通り」ではないかもしれません
3〜4月の桜シーズンは、例年でも訪日需要がもっとも高まる時期です。今年は春節効果で東アジア市場が勢いを持ったまま流れ込んでくる可能性が高く、欧米市場もこの時期に大きく伸びる傾向があります。受け入れる側の対応力が問われる春になりそうだと思います。
毎夕、上野駅の改札前に広がるあの風景は、これからもしばらく続くでしょう。それどころか、さらに密度を増していくのではないかと感じています。
詳細なインタラクティブデータはこちらからご確認いただけます。
▶ 訪日外客統計ダッシュボード:https://www.gldaily.com/inbound_statistics/
出典:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年2月推計値)」2026年3月18日発表
このコラムを書いた人

グローバル・デイリー / 広報部
韓国出身。旅行業やマーケティング会社の運営を通じて、インバウンドに関わる企画・販売・情報発信まで幅広く携わってきた。 実務で培った視点をもとに、現在は自治体や企業向けに、海外向けコンテンツの制作やセミナーを通じて、インバウンド施策を支援している。
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