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コラム韓国

韓国|【データ解説】韓国はなぜ世代でスマホブランドが違うのか?20代女性iPhone 78%の衝撃データから読み解く

世代で変わるスマートフォン選択

20代と50代の分かれ道

【連載2回目】韓国人旅行者データ分析シリーズ
前回:Samsung 72% vs Apple 24%の全体像

前回の調査で明らかになった「20代Apple 60% vs 50代Samsung 89%」という驚きの格差。しかし、この数字の背後にはより複雑で興味深い世代間の価値観の違いが隠されています。

今回は各世代の選択パターンを詳しく分析し、なぜこれほどの差が生まれるのか、そして訪日マーケティングにどう活かすべきかを探ってみましょう。

全世代マップ:驚きの選択パターン

年代別スマートフォン選択率(詳細版)

Samsung

Apple

18-29歳
40%
60%

Apple優勢世代

30代
53%
43%

拮抗する世代

40代
67%
31%

Samsung優勢へ

50代
89%
9%

Samsung圧勝世代

60代
92%
4%

Samsung独占世代

70代以上
82%
4%

Samsung回帰

注目すべきは30代の「53% vs 43%」という拮抗状態。この世代が今後の市場変化のカギを握っているようです。

性別で見る選択の違い

性別×年代別 詳細分析

Samsung

Apple

男性の選択パターン
20代男性
Samsung 56%
Apple 44%

30代男性
Samsung 69%
Apple 26%

40代男性
Samsung 63%
Apple 35%

50代男性
Samsung 90%
Apple 9%

女性の選択パターン
20代女性
Samsung 22%
Apple 78%

30代女性
Samsung 36%
Apple 60%

40代女性
Samsung 71%
Apple 27%

50代女性
Samsung 88%
Apple 9%

最も驚くべきは20代女性のApple 78%という圧倒的な数字です。同世代男性の44%と比較すると、34ポイントもの差があります。30代女性でも60%がAppleを選択しており、女性のApple志向は年代を超えて顕著に現れています。

なぜこれほどの格差が生まれたのか?

単純に「20代女性はApple 78%」という数字だけでは、マーケティング戦略は立てられません。重要なのは、なぜこのような選択をするのかという背景を理解することです。

Group messaging community
コミュニティ効果
「iPhoneでないと友達の輪に入れない」という状況が実際に発生。iMessageの無料通信により、iPhone利用者同士のコミュニティが自然形成され、社会的圧力として作用している。

iPhone as fashion accessory
ファッション・ブランド価値
「iPhoneはファッション」という認識が定着。セレブの利用率が高く、若い女性層にとってトレンディさの象徴として機能。Apple自体がライフスタイルブランド化している。

Gender smartphone usage preferences
性別による価値観の違い
世界的にApple利用者の女性比率が高い傾向があり、韓国も例外ではない。機能性よりも感性・デザインを重視する選択パターンが、性別により異なって現れている。

Apple ecosystem devices
エコシステム連携
AirDrop、iCloud、Apple Payなどの連携機能が「一度使うと抜け出せない」便利さを提供。特に写真共有やデータ同期において、若い世代のライフスタイルと高い親和性を示している。

注目すべきは、「20代女性は元々iPhone利用率が高く、4年前から58%を超えていた。この4年間で20代男性のiPhone利用率は2倍に跳ね上がった」という点です。つまり、女性が趨向を主導し、男性がそれに続く構造が見えてきます。

こうした背景を理解すると、単純な「韓国人向け」プロモーションではなく、世代・性別ごとの価値観に基づいた戦略設計の重要性が浮き彫りになります。

世代別行動パターンの予測

Young iPhone users

20代 Apple世代

18-29歳 / Apple 60%

Instagram Stories
TikTok
Apple Pay
AirDrop

SNS中心の情報収集でトレンドに敏感。Apple Payを積極活用し、AirDropでの情報共有が日常的。日本でもシームレスなApple体験を期待。

Millennials smartphone usage

30代 移行世代

30-39歳 / 拮抗状態

Google Pay
Apple Pay
比較サイト
レビュー重視
職場ではSamsung、プライベートではAppleという使い分けも。決済手段は多様で、比較検討を重視する慎重派。

Middle-aged Samsung users

40-50代 Samsung世代

40-59歳 / Samsung 67-89%

Naver
KakaoTalk
Samsung Pay
Android標準
Naver検索とKakaoTalkが中心。Samsung Payでの決済に慣れ親しみ、機能性と実用性を重視した選択。

Senior smartphone usage

60代以上 安定世代

60歳以上 / Samsung 82-92%

KakaoTalk
家族連絡
信頼重視
長期利用
家族との連絡手段としてKakaoTalkを重視。新しい技術への適応は慎重だが、一度慣れると長期利用。信頼できるブランドへの忠誠度が高い。

このような世代別特性を理解することで、単一のアプローチではなく、各世代に最適化された戦略が必要だということが分かります。特に20代女性と50代男性では、使用するアプリ、決済方法、情報収集習慣まで全く異なる世界に住んでいると考えた方が良いでしょう。

次回は、この世代格差がどのように形成されたかを、2012年から2025年までの13年間の変遷を通して詳しく見ていきます。

画像出典

背景分析:

¹ Group messaging: Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash

² iPhone fashion: Photo by Daria Shevtsova on Unsplash

³ Gender preferences: Photo by NordWood Themes on Unsplash

⁴ Apple ecosystem: Photo by Unsplash

世代パターン:

⁵ Young iPhone users: Photo by Unsplash

⁶ Millennials usage: Photo by Unsplash

⁷ Middle-aged users: Photo by the korea herald

⁸ Senior users: Photo by samsung_galaxy

参考資料

次回予告
13年の軌跡:韓国モバイル市場の変遷 2012-2025
なぜこれほどの世代格差が生まれたのか?時系列で読み解く市場変化の真実

このコラムを書いた人

金 プロフィール写真

グローバル・デイリー / 広報部
韓国出身。旅行業やマーケティング会社の運営を通じて、インバウンドに関わる企画・販売・情報発信まで幅広く携わってきた。 実務で培った視点をもとに、現在は自治体や企業向けに、海外向けコンテンツの制作やセミナーを通じて、インバウンド施策を支援している。

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