イシュー|韓国と日本、その後、そしてこれから ②
〈韓国と日本、その後、そしてこれから ①〉よりつづく
2019年7月から始まった、一連の日韓情勢から約5カ月、訪日韓国人の推移が下降の一路をたどっている中、韓国現地では日本の商品、サービス、ゲーム、アニメ、日本食など全方位にわたった不買運動が今も進行形で、日系企業の売上は存続を脅かし、一部では撤退を検討するほどのダメージを受けています。
韓国現地の目線から見る2019年7月以降の「日本」について、日系進出企業の現状や、旅行業界及び韓国人の旅行インサイトなどをチェックしてみるこのコラム。
今日は、韓国の旅行業界の動きをチェックしてみました。
■旅行業界の動き
日韓路線の減便など「NO JAPAN」の影響が鮮明に表れた韓国の旅行業界ですが、実状は、かつて人気旅行先トップだった日本の人気が落ちるとともに、全体的な海外旅行の心理が滞り、同時に国内旅行のニーズも減少しています。減便の打撃を受けた航空キャリア各社も緊縮経営体制に入るなど、業界全般が苦しい時期を迎えています。
日本路線は、7月を起点に各キャリアの札幌路線が週68便から32便に、福岡路線も49便から22便に減るなど、ほぼ半減状態となり、日韓路線が全体の46%を占めるLCCキャリアの収益性が著しく低下し、業界再編の動きも感知されています。
某LCCの関係者は「東南アジア路線を1回運行するより、日本路線を数回運行した方が、実際の収益性が高く、日本路線の激減は大きなダメージとなっている」と現状を語ります。
そんな中、旅行業界のもう一つの悩みが、訪日旅行から離脱した需要がほかのデスティネーションへ吸収されないということ。
韓国最大手旅行会社「ハナツアー」の10月の中国(香港含む)行き旅行客は、前年同月比で30.6%が減少し、同じくアメリカ(-2.7%)、ヨーロッパ(-10.9%)、南太平洋(-15.9%)も減っています。東南アジアの需要のみ1.2%と微増で、業界関係者は「日本旅行は代替されないという業界のセオリーが証明された」とし、「フライト時間が短く、口に合う食事と快適な環境で日本を好む旅行客たちは、最近の空気を気にして旅行自体を諦め、ほかの地域にも行こうとしない状況だ」と、需要が吸収されない理由を分析しています。
業界の不振については、一日でも早く日韓関係が回復されるか、訪日旅行を希望する旅行客が他地域を代案として認識するよう、航空券の価格などのコストを大幅にダウンさせる必要がある」とする一方、「日本路線がメインのキャリアが他地域へシフトするにも時間がかかるため、当分は不振が続くだろう」と展望しています。
旅行専門リサーチ機関「Consumer Insight」の調査によると、今年の海外旅行費の支出意向は39.2%で、昨年に比べ3.2%落ちており、2018年の落幅の4倍という結果を見せています。国内旅行の支出意向も1.5%p減少、2年連続で下落推移となっています。
日本旅行減少の影響が、韓国人の旅行心理全般に及んでいるという解釈が可能な調査結果です。
メディアでも、日韓関係の報道が当初に比べ減ってきてはいるものの、日本関連の旅行番組や、ブログ、SNS、Youtubeなどのウェブコンテンツも同時に姿を消しているため、訪日旅行のモチベーション誘発の動力も失速しているように感じます。
③につづく