五輪見据え訪日外国人誘致 飲食店地図作成、SNSで口コミ
主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を機に外国人観光客の増加が見込まれる三重県内では、早速「おもてなし」の準備が始まっている。快適な旅を提供し観光地としての評価を国際的に高め、東京五輪・パラリンピックの際にも多くの人を呼び込みたいと期待する。
「和食の知名度は上がっている。いいかげんなものは出せない」
欧米人向け新メニュー開発に取り組むのは、伊勢志摩地域にある宿泊施設の料理人でつくる鳥羽料理研究三重三料会だ。松浦貞勝会長は「生ものが食べられない人にはしゃぶしゃぶを提案するような柔軟対応が必要だ」と気配りも重視する。
開催地志摩市のお隣、鳥羽市の旅館組合女性部でつくる鳥羽あこや会は7月、おかみ行きつけの飲食店紹介地図を作成した。日本語と英語を併記。既に加盟旅館や掲載した店などへ4000部以上を配った。迫間優子会長は「鳥羽の国際的知名度も上げたい」と意気込む。
外国人宿泊客には、鳥羽で撮った写真を会員制交流サイト(SNS)へ投稿する際に「#toba」とハッシュタグ(投稿を検索できる目印)を付けるよう依頼し、口コミの広がりも狙う。
中国で広く利用される決済サービス「銀聯カード」に注目したのは、志摩市商工会。伊勢志摩地域でも中国人観光客は急増中だ。地域内では対応する決済端末機がまだ少ないが、石野雅彦事務局長は「多くの観光客が支払いに使っている」と観光インフラとしての重要性を会員に説く。県や市も免税店となるための端末機導入に補助金を用意した。
地元の百五銀行(津市)も機運を後押しする。イスラム教の戒律に従ったハラル食セミナーを7月に開くと、飲食店に加えコンサルタント、税理士ら、広く参加者が集まった。国際ビジネス支援課の中西貴昭課長代理は「サミットは各国メディアが集まる発信の好機。三重県はハラル先進地域だとPRできれば、東京五輪の際も外国人に来てもらえる」と力説した。