
2025年夏最新|韓国市場動向:ランニングトレンドが変える市場風景
近年、韓国のランニング文化が盛り上がっています。
単なる健康維持や運動としてのランニングを超え、「走りながら楽しむ(Fun・Run)」という新しいライフスタイルが若年層を中心に広がっているのです。また、「走りながら旅を楽しむ」の人気も広がっています。
この「Run Trip(ラン・トリップ)」と呼ばれる動きが、まさに今、「旅行、観光」「ファッション」「SNS発信」などと融合し、韓国のランニングシーンに新たな価値を生み出しています。
1. 「走って旅する」Run Tripの流行
Run Tripとは、「Run」と「Trip」が合わさった言葉で、走るために旅に行ったり、旅行先でも走りを楽しむことを意味します。今は、その土地の風景や文化を五感で楽しみ、走った軌跡をSNSなどで共有する体験型のランニングでもあります。
ただ単に走るだけでなく、走った軌跡で犬やさつまいもなどのユニークな形を描く「ファンラン(Fun Run)」の要素も取り入れ、楽しさを追求しているのが2030代のRunの楽しみ方の特徴です。

※出典元:Instagram
韓国観光データラボによると、2021年以降、SNS上での「Run Trip」関連投稿は約6倍に急増し、ソウル、済州島など主要都市で関連イベントも頻発しています。

「スユクラン(スユクが提供されるマラソン)」
※出典元:NAVER ブログ
直近3年のデータを分析すると、このトレンドは単なる運動や観光を超え、「健康と癒し(50%)」「人との交流(8%)」「旅行(5%)」という多層的な価値をユーザーにもたらしていると分析されます。
また、「ファンラン」関連のSNS投稿数は2023年比で、3倍以上増と爆発的に伸びていると報道されています。
「パンパンラン(パン好きのためのマラソン、プレゼントとパン&コーヒーを提供)」
※出典元:Instagram
このように「Run」を楽しむ2030代ですが、一番大事なのは、Run Tripは国内にとどまらず、海外のランニングコースへの関心も高まっており、ランニングを目的とした旅行(Run Trip)ツアーを企画する旅行会社も増加し、特に2030世代の支持が顕著だということです。
スカイスキャナーの調査では、回答者の55%がランニング目的での国内外旅行意向を持ち、そのうち22%が海外Run Trip希望者でした。
理由として「ランニングの楽しさを旅行仲間に伝えたい」「新しい形で旅先を体験したい」が挙げられ、Run Tripが単なる趣味を超えた旅のスタイルとして定着しつつあることが伺えます。
2. 市場への波及効果:シューズ・ウェア市場
Run Tripの広がりは、即座にランニング関連市場に影響を及ぼしています。
実際、韓国におけるランニング用品市場は急成長中である。新世界百貨店によると、2023年のスポーツカテゴリ売上は1月から11月までの期間で前年比10%以上増加。その中でもランニングシューズを含むスポーツシューズの売上は20%以上の伸びを記録しています。
ABCマートの売上動向を見ても、ランニングブームは明らかだと言われています。2023年11月の売上では、ランニング専門ブランドのサッカニーが前年比96%、アシックスのランニングシューズが42%の増加を達成しています。
※出典元:ニュース1
こういったランニングシューズに対する関心の高まりにより、SNSや口コミを通じて情報収集する文化が定着しており、ランナーの間では「ランニングシューズの階級図(ランキングチャート)」が非常に拡散されています。
用途やブランド別に細かく分類されたこれらのチャートは、ビギナーから上級者まで、自分に合った一足を選ぶ際の参考資料として活用されています。こうした「階級図文化」は、単に商品を選ぶ手段にとどまらず、ブランドの認知度拡大や購買動機の醸成にもつながっており、マーケティング上でも無視できない存在となっています。

ランニングシューズの階級図の一例
※出典元:NAVER ブログ
そして、運動に欠かせないもう一つの要素が「休息」であります。その重要性の高まりと共に、最近韓国では「リカバリーシューズ」への注目が急速に高まっています。実際、検索データによると、2025年5月時点で「リカバリーシューズ」のネイバー検索数は2,070件だったが、6月には97,700件と、前月比で4,621.74%という驚異的な増加を記録しています。
中でも、注目されているのが以下のようなブランドとなっております。
- 「ナイキ リカバリーシューズ」は5月の2,880件から6月には66,000件へ(2,190.7%増)、
- 「ニューバランス リカバリー」は210件から2,870件へ(1,266.67%増)、
- 「ホカ リカバリー」は3,660件から6,700件へ(83.06%増)、
- 「アディダス リカバリー」は40件から1,200件へ(2,900%増)、
- 「クロックス リカバリー」は350件から930件へ(165.71%増)と、それぞれ検索数が爆発的に増加しています。
出典元:Black Kiwi
各ブランドが注目されるなかで、日本ブランドを挙げるユーザーも現れ始めています。まさに今こそ、製品そのものの魅力に加えて、「どのように見せるか」「どのように知ってもらうか」という露出戦略、ブランド発信の巧拙が問われる時代となっているのです。
3. ブランド戦略の変化とSNS活用例
韓国市場での成功には、単なる製品性能の訴求を超え、ユーザーのライフスタイルに寄り添ったストーリーテリングが不可欠です。
例として、日本ブランドが韓国人観光客向けに「旅先での快適なRun Tripを支える一足」として訴求する動画やSNSコンテンツを制作することができます。
インフルエンサーとのコラボレーションでリアルな体験を発信し、口コミ拡散を狙うほか、韓国語・日本語・英語対応のガイドブックやアプリと連携し多言語での情報発信も効果的だと思います。
まとめ
韓国のランニング文化は「健康」という枠を超え、「旅」「癒し」「ファッション」「人とのつながり」といった多面的な価値を提供する新しいライフスタイルへと進化しています。
この流れはランニングシューズやウェアの市場だけでなく、観光や飲食、エンタメ産業など関連産業にも大きな好影響を与えています。
日本ブランドが韓国市場で成功するには、「旅のパートナーとして共に歩む一足・一着」という物語性を持ったブランドコミュニケーションが不可欠です。
機能性と情緒性を兼ね備えたメッセージが、次世代の韓国消費者の心をしっかりと掴むことでしょう。
このコラムを書いた人

グローバル・デイリー / 海外消費者リサーチ・トレンド分析担当
アジア各国の“今どき”消費動向や人気商品のヒット要因を日々ウォッチ。 SNS分析や現地メディアの調査、商談現場の声などをもとに、インバウンド施策や越境マーケティングに役立つ情報をお届けします。 「実際に、現地でウケている理由は?」「数字の裏にある文化背景は?」──そんな疑問にこたえる視点を大切にしています。
