どんな日本を旅したい? – 訪日観光都市のあるべき姿を考える ②訪日観光都市の魅力、官能的(センシュアス)な指標
前編 <①住む人の満足度から見る「都市ブランド」>よりつづく
海外と日本の「都市」に関する指標をもとに、観光都市のあるべき姿を考えてみる「どんな日本を旅したい?」
そのふたつ目は、観光都市はどのような「官能的」要素をもって、ツーリストたちを引き寄せるのか?について考察してみたいと思います。
②訪日観光都市の魅力、官能的(センシュアス)な指標からの考察
▲引用:センシュアス指標及びセンシュアス・シティランキング by HOME’S総研
HOME’S総研が発表したレポート「 Sensuous City[官能都市] ―身体で経験する都市;センシュアス・シティ・ランキング」では、「官能的(センシュアス)な街」という指標を見ると、下記のような7つの特徴をもとに日本の各都市のセンシュアス度を評価しています。
・共同体に帰属している
・匿名性がある
・ロマンスがある
・機会がある
・食文化が豊か
・街を感じる
・自然を感じる
・歩ける
日本人の生活環境における指標としてのレポートではありますが、短時間~短期間の滞在、そしてその滞在先を選ぶ要因としてみれば、訪日旅行客のインサイトにも共通する部分は大いにあると思います。
例えば、26位にランクした「横浜市中区」エリアは「街を感じる」のポイントが高く、訪日旅行客が主に訪れる赤レンガ倉庫やみなとみらいなどが、観光においての「センシュアス」を持っているということになります。
ランクを覗いてみると、センシュアス度トップは「文京区」という結果になりました。2位の「大阪市北区」、3位の「武蔵野市」に、偏差値総計で40ポイント以上の大差をつけています。
以降、トップ10には、4位「目黒区」、6位「台東区」や、5位「大阪市西区」、7位「大阪市中央区」など、東京23区と大阪市が上位を占める中で、唯一、「金沢市」が8位に位置しているのが目を引きます。
▲Photo by JAPANKURU
金沢市以外にも、12位「静岡市」、14位「盛岡市」、17位「福岡市」、18位「仙台市」、19位「那覇市」、23位「山形市」、24位「京都市」、32位「松江市」、34位「松山市」など、地方都市が50位中18都市を占めており、どの都市も地名で思い浮かぶ魅力をひとつは持っているように感じます。
街は、限られた旅の時間では中々そのすべての魅力を教えてくれません。大体の旅行では、その街のランドマークやアイコニックな建物、風景など断片的なイメージを手掛かりに目的地を決め、それ以上の思い出や感動を街から持ち帰ることを期待します。
そんな「体験した人しか表現できない魅力」が、SNSに乗ったり、レビューになったりしながら、次の訪問客を呼び寄せる「官能」として街の印象を広げていくのではないかと思います。そして、街の官能はまだまだ未発見の魅力を秘めているように「魅せる」ことで、リピーターを迎えることとなるでしょう。
住む人が求め、理想とする都市の姿は、旅する人にとっても共通するだけでなく「誰かに知らせたい」や「また行きたい」の姿となり、観光都市としての魅力を格上げしてくれる要素にもつながるものであると感じます。
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