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日本インバウンドの新目標:2020年までに訪日消費8兆円 その課題とは?

日本政府は、2017年度からの新たな「観光立国推進基本計画」を発表した。「観光先進国・日本」になることを目指しており、「観光立国」の計画を従来の2021年から1年前倒しにして、2020年に変更している。新たに3つの目標も立てており、それぞれ①「訪日外国人旅行消費額8兆円(2015年実績3.5兆円)」、②「訪日外国人旅行者のリピーター2400万人(2015年1159万人)」、③「訪日外国人旅行者の地方の延べ宿泊者数7000万人泊(2015年2514万人泊)」を目標としている。また、実現するために、4つのインバウンド向けの方針を設定しており、主に観光地域の形成や人材の育成、環境の整備、国際観光の振興である。今後、大都市圏と地方、地方と地方の連携にもっと力を入れるようだ。

「訪日外国人旅行消費額8兆円」の目標が、実現できるかどうかを予測するのに、他の観光先進国の例が参考になる、と筆者は思っている。世界1位の観光先進国のフランスでは、2015年に8445万人外国人が訪れており、外国人旅行消費額は518億ユーロ(約6兆円)にもなる。一方、2位のアメリカでは、同年7751万人の外国人が訪れているが、外国人旅行消費額は1940億ドル(約21.5兆円)にもなっており、1位のフランスの3倍だった。フランスでの消費額が少ない理由としては、フランスに訪れる人の80%以上がヨーロッパ各国からのショートホールの観光客になっており、ホテルではなくホステルなどより安いところに泊まり、地元のスーパーで買い物をする人も多いからだ。一方、アメリカでは、ロングホールで1週間以上滞在する観光客が多いため、消費額が高くなるようだ。

現在、JNTOは2020年までに訪日外国人が4000万人に増えると予測しているが、上記のフランスとアメリカの例を見ると、観光客が増えるだけで、「外国人旅行消費額8兆円」の目標は実現できるわけではない、と筆者は思っている。実現させるためには、観光客の滞在日数を延ばし、消費意欲を高めるための工夫を考えなければならないだろう。

編集者:オスカー チャウ