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【PR後日談】安曇野市×グローバル・デイリー:「わさび」から学んだ、まちのプロダクトとグローバルコンテンツの方程式

【PR後日談】安曇野市×グローバル・デイリー:「わさび」から学んだ、まちのプロダクトとグローバルコンテンツの方程式

最近のグローバル・デイリーのプロモーション事例のうち、その実施効果だけではなく、今後の継続や多方面への拡張が期待されるプロジェクトについて、事業に携わったメンバーたちが虚心坦懐、ざっくばらんに語り合う「PR後日談」。

今日は、「わさびのまち」として知られ、国内外から多くの観光客が訪れる「長野県安曇野市」とグローバル・デイリーが実施した「わさびをテーマとする多言語動画発信」PRの中心メンバーたちが、今回のプロジェクトについて語ってみました。

≫ PR後日談 VOL. 01
・THEME:
「わさび」から学んだ、まちのプロダクトとグローバルコンテンツの方程式
・TALK:
 
黒岩 慶太 様  -安曇野市 農林部 農政課 農村振興担当 主査


望月 啓市 様  -藤屋わさび農園有限会社 専務取締役


大坂 直史    -株式会社グローバル・デイリー 部長


チェ 広幸(ホスト) -JAPANKURU クリエイティブプランナー

・DATE:2021.04.26
・PLACE:オンラインミーティング[ZOOM]

チェ(以下、Q):まず最初に、安曇野とわさびの関係についておさらいをしてみましょうか?

望月 啓市(以下、M):
安曇野のわさびの始まりは、歴史的には静岡から苗を持ってきて、この地で栽培したことから始まりました。安曇野という地域は水が豊富でわさびの栽培に適していることから、静岡の苗を持ち込んで育てるようになったのです。

Q:日本ではまだ多くの人々が「わさび=静岡」というイメージを持っているように感じるのですが、安曇野のわさびも静岡がルーツだったのですね。

黒岩 慶太(以下、K):
そうですね。元々静岡の方で主に栽培され、かつては徳川家に献上されていました。その味の良さと、山葵の葉の形が徳川家の家紋に似ていることから大変気に入られ、栽培方法を門外不出にしたとまで言われています。

Q:そうなんですね。でも、静岡のイメージはさておき、「大王わさび農場」など安曇野の観光において「わさび」はかなり根付いていると思うのですが、安曇野わさびを市ではどのようにコンテンツとして育ててきたのでしょうか?

K:
歴史的な背景をもう少し深掘りすると、安曇野のわさびは「育ててきた」というより、実は意外と「偶然」が重なって、育ってきたものなのかなと思います。
今現在わさびが栽培されている土地は、過去には「梨畑」でした。梨を育てていると、畑から水が湧いてくることがわかりました。その水は梨を栽培する上では病気をもたらすため、不要なものとされ排水処理をしていましたが、水が豊富な土地で「わさび」がよく育つということで、試しに植えてみたところとてもよく育ったというストーリーがあります。

それに、梨木が日陰を作ってくれるのでわさびの生育に最適な環境となりました。ただ、その当時は外に出荷する考えはなく地元で自給自足していました。その後、鉄道網が発達するのですが、ちょうどその時期に「関東大震災」が起き、わさびの産地であった静岡が壊滅的な被害を受けました。その影響で東京に出荷されていた静岡のわさびが流通されなくなり、その代案として「長野県産わさび」が注目され始めます。

安曇野の農家にとっては、わさびの需要が梨よりはるかに増えたので、多くの梨農家がわさび畑へと転換していったことで「安曇野わさび」の今が始まったのです。「大王わさび農場」ができたのもこの頃で、当時の大規模なわさび農業へのシフトの象徴となりました。

Q:なるほど!地域全体の農業がわさびに転換されたのですね。そのストーリー、おもしろいですね。
今回のPRの着目点でもありますが、外国人にとって、わさびは日本をイメージさせるものという認識が広くあり、そんな意味でインバウンドにとってとてもいいコンテンツとなっています。そのつながりから、安曇野市とグローバル・デイリーの関係が始まったのですが、そのいきさつを振り返ってみましょう。

大坂 直史(以下、O):
グループ会社のデイリーフォーメーションから、安曇野市の黒岩さんが世界向けに「わさびを使ったレシピ動画」を作りたいという話を聞いて、おもしろいと思ったのでグローバルPRがメインの弊社と一緒にお話しをさせていただいたのが始まりでしたね。
そこで感じた黒岩さんのわさびを世界に広めたいという想いに惹かれ、意気投合したのを覚えています。その後何度も安曇野に足を運び色々なアイディアを共有し合いました。

Q:黒岩さんが感じたグローバル・デイリーの初印象は?

K:
初めてのWEB会議で、クリエイターも交えて大人数で熱心に参加されていたのが印象的でした。コロナが無かったら、動画を作ろうという発想はなかったと思うのですが、見せていただいたJAPANKURUの動画のクオリティがかなり良く、ウェブサイトやSNSチャンネルもしっかり持っていたので、動画を作って全世界に発信することができると思いました。

コロナの状況の中で、訪日観光客が来れない分、このような動画を通してその気分を味わってもらうとともに、海外からの取り寄せ(輸出)の需要も喚起できるのではないかという期待もあった中で、GLDとは動画配信の先の具体的な話までできたので、一緒に業務を進めてみたいと思いました。

実際の取材も、1回目の緊急事態宣言明けに再スタートの初取材としてきてくださって。私も同行したのですが、とても力を入れて取材してくださっているなと感じました。出来上がった動画も素晴らしく、とても評判がよくて担当者としても鼻高々でした(笑)。

Q:そんな初めての出会い、そして意気投合から約1年が経ちましたが、実際に今では安曇野のわさびが海を渡り、様々な展開が進んでいますが、そのあたりの現況を教えてください。

M:
コロナ前は、世界の方々にも注目を受けていて問い合わせが多かったのですが、コロナが始まってからは、特にヨーロッパ方面の既存のお客さんが減っていきました。そのタイミングでGLDの動画制作がきっかけになって、色々なアイディアをいただき、PRも含め一緒にスピーディーに実行することもできました。

ベトナムやフランスへの展開など新しいPRの形を通して、わさびにおける海外市場の伸び易さなど新たな可能性が増えてきているのを感じます。ただ、わさびの最も大きな消費市場は日本国内なので、その市場も取りつつ「海外でこんなに貴重に使われてる」というのをもっとアピールすることで、国内の人にももっと使ってもらうようになればと思っています。

Q:個人的に今回の動画撮影の際に初めて知ったのが、海外の方々(日本も含め)が日頃口にしているわさびの殆どは、実は「山わさび(ホースラディッシュ)」だということでした。私のような人に「生わさびってとても貴重なもの」だということを知ってもらうのはすごく価値のあることだと思うのですが、安曇野市の観光にとってこのような「ストーリー」はどう役立ってきたのでしょうか?

K:
そうですね。やはり観光客の方々は「わさび」というコンテンツに興味を持って訪れていただいていると思いますが、今回感じたのは、来ていただくだけではわさびの「理解」というのがあまり広まらないということですね。

私も地元がここなので、大王わさび農場は子供の頃から遊びに行っていたし、観光客の方々もたくさん来ていただいているのを見て育ちましたが、ホースラディッシュと生わさびの違いなどを深く理解してはいなかったと思います。訪れる方々も「日本最大のわさび農場で、景色が良くて、水がきれい」というような面は十分伝わっている中で、そこから一歩踏み込んで「わさびってどんなものなんだろう」といった部分までは伝わり切れていなかったのではと、今回のプロモーションを通して感じました。今後はそういったストーリーを伝えることにより注力すべきだと思っています。

Q:とても共感できる考え方ですね。
今度は、わさび以外の話をしてみたいと思います。今、安曇野わさびは海外からも全国からも注目を集めていると思いますが、わさびを入口にして安曇野に興味をもってもらった方に対して、次のコンテンツはどのようなものがあるでしょうか?

M:
安曇野市と言えば「水」だと思うのですが、この水を活かした何か、現在「わさびキャビア」のプロジェクトを進めていて、わさびの名が入るだけで水がきれいというイメージが生まれます。それをブランディングしていきたいと思っています。
このキャビアが成功すれば、わさびから紐づくきれいな水のイメージは、日本酒などにも付加価値が付くのではと思います。なので、安曇野の水というのをブランディングしていけば、まちが盛り上がるのではないでしょうか。

今回のフランスのPRも、わさびにフォーカスしていますが、そのストーリーを辿っていくと「水」が出てきます。やっぱり今後は「安曇野=水」というのを積極的に広めていければと思います。

Q:
実際、日本の色んなエリアで「水」をブランドにPRを行っていますが、そのほとんどは「日本酒」のコンテンツであるような印象を受けます。インバウンドの観点から見ると、水と日本酒は、美しい自然環境という背景から生れるので、いいタッチのコンテンツだと思います。

そんな意味で、先日動画を作らせていただいた安曇野の「天蚕(てんさん)」も豊かな自然環境や伝統、希少価値など、安曇野市の特産物としてコンテンツの価値を大いに持っていると思いました。これも国内だけでなく、世界に発信できるプロダクトとして国内外の民間企業と「コラボレーション」などの方法でプロモーションを展開することに対して、安曇野市はどうお考えでしょうか?

K:
全然ありだと思います。特に観光部署以外でも、わさびなら農政、天蚕なら商工などだったら民間企業と組んで販路を開拓し、プロモーションをかけていくというのは積極的に推進できると思います。

Q:今後の動きについていくつかお聞きしたいのですが、皆さんの日々の環境からの感覚で「アフターコロナ」はいつ頃になりそうでしょうか?

M:
自分は、「アフターコロナ」はないのではと思いながら動いています。過去みたいに100%は戻れないのは確かで、その中でコロナの状況の中でも伸びているところや出来ることはあるので、それらを見極めて安曇野市全体でPRしていければという考えです。コロナ後だけを見据えていると、今の変化に乗り遅れてしまう感じがあって、コロナはもう「あるもの」ととらえて、需要があるところ(海外含め)に集中していきたいと思っています。

Q:
コロナがもたらす変化に乗っていくこと。とても重要であると共感します。実際、様々な分野でパラダイムシフトが起こっていて、現在閉ざされていて今後少なくとも1年は自由にならないであろう「海外(訪日)旅行」も、解禁になった時には人々の求める旅行の形や趣向も大きく変わると思います。

中でも、美しい自然やそのもとでの体験といったジャンルが脚光を浴びると予想されていますが、まさに「長野県-安曇野市」はそれに当てはまると思いますが、わさびや天蚕はその時の根幹となる強いコンテンツとして活躍すると信じています。

O:
そうですね。安曇野市は長野県の中でもインバウンド復活後のポテンシャルがとても高いエリアだと、今展開中の色んなプロジェクトを通して、海外の関係者の反応を見て実感することが多いですね。

Q:そうですね、今後も色んな可能性が点在するまちのPRって、宝探しみたいで楽しいですよね。
そんな未来のことも含め、最後にお二人のメッセージをいただきたいです。

K:
アフターコロナの話もありましたが、観光の形や質の部分が変わってくると思っていて、以前は「行って、見て、知って」という部分が大きかったとすれば、今ではオンラインツアーなど情報発信が増えているので、それらの情報をもとに「知った」うえで、更に現地の人々との繋がりを通してもっとテーマ性の深い旅行体験ができる時代が来ているのではないかと思います。

「知って、体験して、つながって」という流れです。わさびは、知れば知るほど面白いストーリーを持っているので、旅行に来て、現地の人々しか提供できない体験をすることで安曇野の旅のその楽しさはっもっと広がると思うので、今後も望月さんのような方々と協力し合いながら、もっとわさびの魅力を伝えられるように頑張っていきたいと思います。

M:
JAPANKURUと安曇野市が作ったPR動画の評判がとても良く、海外のお客さんたちにシェアすると、すごくわかりやすく伝わるんだなと感じていて、改めて動画コンテンツの良さを感じています。

実際、静岡などは(海外向けの)紹介動画があまり無く、安曇野市のこのような取り組みは「PR面では静岡に勝っている」ようなモチベーションになるので、本当に重宝しています。これからも動画を作って、グローバルなチャネルでどんどん発信する伝え方で、わさびだけではなく日本酒や信州サーモンなど安曇野のプロダクトの魅力を世界に発信していければと思います。

Q:ありがとうございました。引き続き「みんなが楽しい安曇野プロジェクト」、がんばりましょう。よろしくお願いいたします。