財務省、2019経常収支発表 インバウンド好調でサービス収支が年間初の黒字へ
▲Photo by JAPANKURU 表:日本経済新聞
財務省が10日発表した2019年の国際収支によると、輸送や旅行を含むサービス収支が1758億円の黒字と、年間で初めて黒字に転化しました。
訪日外国人旅行客数が過去最高を記録する中、旅行収支が全体を押し上げた結果となりました。
サービス収支が黒字になるのは比較可能な1996年以降初で、サービス収支を構成する3項目のうち、旅行の黒字額は2兆6350億円と過去最高を更新し、輸送とその他サービスの赤字を補いました。
旅行収支黒字拡大の背景にあるのは訪日外国人客の大幅な増加。
訪日客の消費が増えることで、旅行収支にプラスに作用することとなりますが、日本政府観光局(JNTO)の発表によると、昨年の訪日外国人旅行客数は前年比2.2%増の3188万人で過去最高を更新したとともに、旅行消費額も前年比6.5%増の4兆8113億円と7年連続で過去最高を更新したことがサービス収支の黒字化につながったものとみられます。
麻生太郎財務相は10日の閣議後記者会見で、国民総所得(GNI)の観点から「サービス収支は非常に重要な要素の一つ」と指摘、初の黒字転換は、輸送やその他サービスの赤字縮小など複合的要因があるものの、「旅行収支はこれまでに比べて大きなものになってきているのは間違いない。やはりインバウンドの占める比率が大きい」と述べました。
中国を中心とした新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、訪日外国人客数の減少が見込まれる中、財務省担当者は、今後は中国人訪日客の減少が旅行収支のマイナスに寄与する可能性があると語りました。