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コラム韓国

韓国人は日本のフェイスマスクを求めているのか? ― ビッグデータから解読

韓国は、いわゆる「K-Cosme」で世界的に名を馳せている国であるがゆえに、
しばしば「他国の化粧品にはあまり関心がないのではないか」と見られがちです。

しかし実際には、韓国は非常に美意識の高い国であり、
日常的なスキンケアのルーティンも、シートマスクの使用頻度も、決して低くありません。

さらに、日本旅行は韓国においてほとんど日常茶飯事と言ってもよいほど身近な行動になっており、
一年のうちに複数回日本を訪れる方も少なくない状況です。

このような市場のポテンシャルに注目し、韓国向けに動き始めている日本企業も少なくありません。
最近では、韓国のSNSやNAVERブログ上で、日本企業によるプロモーションやイベント事例を目にする機会が明らかに増えており、
まさに今「HOTな市場」と言える段階に入ってきています。

本コラムでは、この韓国市場に関する裏側のデータを見ながら、
いくつか興味深い現象に触れていきたいと思います。

 


 

1. 「オリーブヤング マスクパック」より「ドンキホーテ マスクパック」の検索数が多い?

まず驚きのポイントとして、NAVER上の検索傾向を確認しますと、
「オリーブヤング マスクパック おすすめ」よりも「ドンキホーテ マスクパック」のほうが多く検索されているという結果が見られました。

※Black Kiwiより

もちろん、「オリーブヤング」は韓国内における圧倒的な存在感を持つヘルス&ビューティストアであり、
ユーザーは「オリーブヤング ○○マスク」という形ではなく、
商品名のみで検索を行い、店舗名はあえて入力しないケースも十分考えられます。

しかしそれを踏まえたうえでも、
本来であれば「韓国現地の日常使い」であるオリーブヤング関連キーワードと、
「海外旅行先として訪れたときに立ち寄る」ドンキホーテ関連キーワードとの間には、
検索ボリュームにもっと大きな差がついてもおかしくありません。

それにもかかわらず、両者の差がそれほど大きくない、あるいは
場合によっては「ドンキホーテ マスクパック」のほうが多く検索されているという事実から、

韓国の生活者は、実際にドンキホーテで販売されている日本のマスクシートに対してかなり高い関心を持っている

ということが読み取れます。

月あたりでは数千人規模が「ドンキホーテ マスクパック」を検索している状況ですが、
では、このビッグキーワードからユーザーはどのような情報を目にし、
そこからどのような商品へと誘導されているのでしょうか。

筆者も実際に検索エンジン上で同キーワードを検索してみました。
InstagramとNAVERの両方で上位に表示されていたのは、主に以下のブランドです。

※Instagramより
  • 毛穴撫子 お米のマスク
  • LuluLun(ルルルン)
  • Quality 1st(クオリティファースト)

 

では、これらの中でもっとも検索されている“興味商品”はどれでしょうか。

※Black Kiwiより

答えは、「毛穴撫子 お米のマスク」でした。

「日本 お米 マスクパック」と検索されていますが、「日本」「お米」という、日本らしさの象徴とも言える要素が組み合わさったアイテムであり、
韓国現地のマスクシートとは明確にコンセプトが差別化されている点が、好感を持たれている理由の一つと考えられます。

韓国では、通常は
「成分にこだわる」「含有量を確認してから購入する」といった“成分重視”の購買スタイルがよく語られます。
しかし、旅行中・観光中の購買行動に目を向けてみますと、必ずしもそれだけではなく、

「日本らしさ」「旅行先ならではの特別感」「有名らしい」といった別の基準でもものを選ぶ傾向

があることを、筆者自身もあらためて感じました。

 

2. 日本のマスクシートで、韓国人がいちばん気にしている効果とは?

では、日本のマスクシートにおいて、韓国人がもっとも重視している効果は何でしょうか。

マスクシートの代表的な効果といえば、「美白」と「保湿」が挙げられます。
そこで、日本のマスクシートに関する韓国語投稿の中から、
この二つの効果に関するメンション数を集計し、比較してみました。

その結果、

  • 年間を通じて「保湿」に関するメンションボリュームが安定して高いことに加え、
  • 特に夏に入る前の4月頃になると、「美白」に対するメンション数が相対的に高まること

が確認されました。

出典:当社調べ
※本データは第三者ツールによるもので、NAVER、X、YouTubeを含むWeb上の主要プラットフォームから抽出・分析したものです。なお、すべての投稿データを網羅するものではありません。

一方で、検索数という観点から現地の動きを見てみると、
投稿数とは少し異なるタイムラグも見られました。

 

※Black Kiwiより

「保湿」と「美白」に関する検索数を比較したところ、
投稿上では早い段階から「美白」の関心が高まっているにもかかわらず、
検索数が「保湿」を上回り始めるのは少し遅れて6〜7月頃からであり、
9月手前までは「美白」関連の検索数がより高い水準を維持しているという結果となりました。

 

これらのことから、

韓国における日本製マスクシートのニーズは、
季節要因と検索行動のズレを考慮することで、より精緻に捉えることができます。

まず「保湿」に関しては、SNS投稿数を見る限り、年間を通じて安定して高い言及量を維持しております。
一方で、NAVER検索数に目を向けますと、1〜4月にかけて保湿関連ワードが明確に伸びるという特徴が確認されました。
この時期は、冬の乾燥が続くうえ、新生活や季節の変わり目を意識した「肌の立て直し」需要も高まります。

したがって保湿系マスクの施策においては、
9月〜検索がピークを迎える前の3月頃までに十分な情報露出を蓄積しておくことが重要です。
この準備により、検索数が増加したタイミングで、ユーザーの目に自然と情報が届く状態を作ることができます。

一方、「美白」に関しては、投稿・検索のタイミングにやや差がございます。
SNS投稿では、夏に向けた準備が始まる4月頃から美白の話題が増え始め
検索数はそれより遅れて、6〜7月にかけて美白関連ワードが保湿を上回るという傾向が見られました。

このため美白系の施策については、
本格的に検索意欲が高まる6〜7月を待つのではなく、4〜5月の段階で情報露出を開始することが効果的です。
季節性の高いカテゴリーであるがゆえ、ユーザーの準備段階(投稿増加)に合わせて早めに布石を打つことで、
検索ピーク時にしっかりと想起されるポジションを確保できます。


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このコラムを書いた人

Gen プロフィール写真
Gen
グローバル・デイリー / 海外消費者リサーチ・トレンド分析担当
アジア各国の“今どき”消費動向や人気商品のヒット要因を日々ウォッチ。 SNS分析や現地メディアの調査、商談現場の声などをもとに、インバウンド施策や越境マーケティングに役立つ情報をお届けします。 「実際に、現地でウケている理由は?」「数字の裏にある文化背景は?」──そんな疑問にこたえる視点を大切にしています。

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