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ハンギョレ新聞
コラム韓国

韓国|韓国の大学入試“スヌン(수능 :大学修学能力試験)”終了。航空からテーマパークまで広がる“受験生プロモーション”が示す訪日需要の兆し

11月13日、韓国の全国統一大学入試である“スヌン(수능、大学修学能力試験)”が実施されました。今年の第1教科受験者は49万7080人、応試率は90.6%でした。前年の欠席率より大幅に改善しており、特に釜山では欠席率6.64%と全国で最も低い水準となりました。韓国社会にとって“スヌン”は一年で最も重要な日とも言われ、この日を境に若者の行動が大きく変わることでも知られています。


2026学年度スヌン当日の受験生たち
2026学年度大学修学能力試験(スヌン)当日のソウル女子高校の様子(写真=ハンギョレ新聞)

試験が終わった翌日から、韓国ではいわゆる“보상여행(ご褒美旅行)”の需要が一気に高まります。長期間の受験生活から解放され、友人や家族と短い旅行を楽しむ動きが毎年のように広がるためです。こうした特需を確実に取り込もうと、まず動き出すのが航空会社です。

今年はチェジュ航空、ティーウェイ航空、イースター航空、エアプサンの主要LCC4社が、受験生向けの割引キャンペーンを一斉に開始しました。国内線20〜25%の割引や国際線の特別運賃、そして受験生と同行者1名に適用される優待など、移動のハードルを下げる施策が目立ちます。

こうした航空各社の動きに連動するかたちで、テーマパークやホテル、リゾート、外食チェーンなど、地上の観光業界も受験生向けプロモーションを次々に打ち出しています。


イースター航空プロモーション
イースター航空の受験生向けキャンペーン(画像:イースター航空公式サイトより)

まず、テーマパーク各社は非常に積極的です。エバーランドは受験生に対し、年末まで自由利用券を2万ウォン、定期券は50%オフで提供しています。さらに、毎日先着400名に“수능応援お守りカード”を配布し、QRコードから最大5万솜ポイントを取得できるなど、体験価値を高める施策も導入しています。家族向けには、受験生の親や祖父母がメンバーシップに加入した際のアップグレード特典など、“同行家族”を想定した優遇も用意されています。


エバーランド Tエクスプレス前の受験生
エバーランドのT-エクスプレス前で受験票を掲げる受験生たち(出典:Samsung C&T ニュースルーム)

ロッテワールドも全国4施設で受験生プロモーションを展開し、利用券を2万〜2万6000ウォンの特別価格で提供しています。ソウルスカイ展望台やアクアリウムでは50%の割引が適用され、若者から家族層まで幅広く取り込む姿勢が目立ちます。

リゾートやウォーターパーク業界も同様に動いています。ソノインターナショナルは8ヶ所のウォーターパークで、受験生本人最大61%、同行者3名50%という大胆な割引を実施しています。また、ホテルや外食チェーンでも、受験生と家族を対象とした20〜50%の割引が相次いでおり、“家族旅行需要”の高さがうかがえます。

さらに、訪日旅行を意識したプロモーションも見られます。旅行プラットフォームのKlook(클룩)は、受験生を対象に日本ホテル予約で利用できる20万ウォンのクーポンを抽選で提供しており、SNSを活用した参加型キャンペーンとして注目されています。


Klook スヌン終了プロモーション
「スヌン終了!さあ、旅へ!」 Klook、受験生に日本ホテルで使える20万ウォン相当のクーポンを提供(出典:Klook公式Instagram)

こうした動きは、日本のインバウンド市場にとっても大きな意味を持つと考えられます。受験生約49万人という規模は、訪日旅行の潜在層として非常に大きく、また多くの割引が“同行者”にも適用されるため、友人旅行・家族旅行としての訪日ニーズが高まる可能性があります。韓国のZ世代は旅行行動が軽く、近距離で非日常を味わえる日本は、そのニーズに最も適した目的地と言えるでしょう。

特に、韓国の若者はSNSを前提とした旅行行動を取るため、日本側としては写真映えするスポットやアニメ・ゲームの舞台、地方温泉地、カフェ文化など、テーマ性とストーリー性のある体験の訴求が鍵になると思われます。また、韓国地方都市からのLCC路線拡大により、九州・四国・北陸など日本の地方がより選ばれやすくなっている点も見逃せません。

“スヌン”が終わった今、韓国の若者たちはすでに次の旅行先を探し始めています。このタイミングでの情報発信や旅行商品づくりが、2025年以降の訪日市場の流れを大きく左右する可能性があるでしょう。日本としても、若年層のニーズに寄り添ったプロモーションを強化する絶好の機会だと考えられます。

このコラムを書いた人

金 プロフィール写真

グローバル・デイリー / 広報部
韓国出身。旅行業やマーケティング会社の運営を通じて、インバウンドに関わる企画・販売・情報発信まで幅広く携わってきた。 実務で培った視点をもとに、現在は自治体や企業向けに、海外向けコンテンツの制作やセミナーを通じて、インバウンド施策を支援している。

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