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訪日外国人:今年すでに1631万人超 14年の最高抜く

日本政府観光局が18日発表した2015年1〜10月の訪日外国人旅行者数は、前年同期比48.2%増の1631万6900人だった。通年で過去最高だった14年の1341万3467人を更新。円安や訪日外国人が買い物する際に消費税が免除される免税店の増加などを背景に、大幅な伸びが続いている。外国人消費が日本経済の下支えにもなっており、政府や自治体は訪日外国人をさらに増やそうと、大都市圏以外の地域の観光ルートの開発に本腰を入れている。

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今年1〜10月の訪日外国人数を国・地域別でみると、中国が1位で前年同期比約2倍の428万3700人で、韓国322万6600人、台湾311万4800人と続いた。中国の建国記念日に当たる「国慶節」を祝う10月初旬の大型連休があったことも中国人観光客数を押し上げた。観光庁の田村明比古長官は記者会見で「年間では1900万人台に達する見込み」と述べた。

訪日外国人数を「20年に2000万人」とする目標達成が視野に入る中、政府は今月有識者会議を設置し、訪日外国人3000万人を見据えた対策を検討している。切り札の一つが地方のお薦め観光ルートの開発で、観光庁は今夏、北海道東部、中・四国、九州など国内7カ所を「広域観光周遊ルート」と認定した。首都圏や大阪・京都、富士山周辺のいわゆる「ゴールデンルート」に偏りがちな訪日外国人の旅先を地方の観光地に広げていく狙いだ。認定地域では県境をまたいだ詳細な観光プランを策定中で、政府はPR予算などを支援する。

広島や岡山など瀬戸内海に面する7県の「せとうち・海の道」ルートでは、瀬戸内海を船で周遊したり、原爆ドームを巡ったりしてもらうプランを検討している。広島県の担当者は「欧米の富裕層を誘致し、20年までに外国人宿泊数を現在の3倍に増やす」と意気込む。北海道東部の知床・富良野などを巡る北海道ルートでは大自然や地元の食を堪能できるプランを検討している。人気の集中している札幌周辺から、道東まで外国人観光客に足を延ばしてもらうことを目指す。田村長官は「地方にどれくらい訪れてくれるかが、日本が観光立国を目指す点で重要だ」と指摘する。【工藤昭久、山口知】

◇訪日外国人

海外から日本を訪れる外国人のことで、ビザ(査証)の発給条件緩和や円安を背景に、中国人を中心に増加が続いている。安倍政権は2014年に成長戦略の一環として、訪日外国人数を「20年に2000万人」にする目標を掲げたが、今年のうちに1900万人台に達する見込みで、前倒しで2000万人を達成する可能性が高い。政府は有識者会議で訪日外国人をさらに増やす対策の検討を進めている。

訪日外国人の宿泊や買い物などの消費額は年間3兆円半ばに届く勢いで、百貨店や家電量販店などの売り上げを押し上げている。一方、訪日外国人急増によるホテル不足や、文化の違いから日本人宿泊客とトラブルが発生するなど課題にも直面している。