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【DAC】レポート:ミャンマー尼僧院への支援活動記~SDGsな世界に向けて~

DACグループのCSR事業として、健全な青少年の育成をめざす「DAC未来サポート文化事業団」の海外プロジェクトのひとつとして、2019年より取り組んでいる「ミャンマー尼僧院」への支援活動。

2020年1月、その現場にグローバルデイリーのメンバーであり、DAC未来サポート文化事業団のひとりでもある「井出 悠」が参加してきました。


グローバル・デイリー コンサルティング事業部 井出 悠 課長(右)

今回のレポートは、ミャンマーの未来を担う尼僧院の子供たちとふれあう支援活動を通し、世界の各所で進行形となっている様々な課題への向き合い方を肌で感じた、彼女の活動記を、インタビュー形式でお伝えしたいと思います。

Q:まず、元々社会活動には興味がありましたか?

井出 悠(以下、A):
私、実は小・中・高と部活動に明け暮れた生活をしてきましたが、大学(拓殖大学国際学部)で国際協力や開発教育を専攻するようになり、メインは発展途上国の開発教育について学びながら、アジアやアフリカ、南米の開発途上国含め20か国以上をまわりました。

フィリピンではスモーキーマウンテン(ゴミ山)で生活していたり、ケニアでは電気・ガス・水道がない村で生活していたり、南アフリカのスラム街では麻薬に手をそめていたりと、様々な環境で生活している子どもたちを目の当たりにしてきました。
何か自分にできることがないか、彼らにとって何が必要なのかを【現場第一主義】で考えながら、学生時代を過ごしていました。

Q:今回のミャンマーでの活動についてご紹介ください

A:
昨年から継続して行っている食糧支援があります。
DACは継続的な食糧支援以外に、発電機や水タンクやシャワー場の設置など様々なサポートをしてきましたが、まだまだ課題はあり、僧院の子どもたちはカルシウムや海藻などに含まれている”ヨード”が足りていません。(具体的には、1人1日15gのカルシムが必要)
今回、カルシウムやヨードが足りていないというお話から、ご協賛頂いている「三島食品株式会社 東北支店」さんからふりかけや佃煮、また「北海道昆布館」さんからうめ昆布茶や昆布が入ったぶどうゼリーなどを提供頂き、現地ミャンマーへ持っていきました。

一方的に支援をするのではなく、現地の意見・感想をもとに継続的なサポートができるよう、また現地の子どもたちにとって初めて口にするものなので、どのように食べるのがベストか、口に合うかどうかなど実際に食べてもらいながら、感想を聞いたり味の好みなどを確認してきました。
その情報を持ち帰り、提供頂いた2社とも今後の支援に対して話し合っていきます。

次に、尼僧院の懸案事項であった深井戸建設の費用を支援することが決まり、その手続きを行いました。
現在の井戸は浅く口径も細いので乾季には水不足や汚染水のくみ上げの危険も伴っていて、今回は100m以上の深井戸にするプロジェクトです。

また、僧院の子どもたちに未来志向をサポートするための教育支援を実施することを決め、文通(尼僧院のこどもたちとDAC女性社員)を通じて、コミュニケーションを図る活動を予定しています。

Q:尼僧院への支援ということですが、そのきっかけや背景は?

A:
学生時代に世界で起こっている様々な生活状況を見てきた私ですが、世界の現状を知っていながらも、社会人になってからは何も動けていませんでした。

きっかけは、2016年にグローバル・デイリー全社員で旅行したベトナム&カンボジアでの出来事です。
カンボジアで宿泊した宿の隣に病院?があり、社員たちがホテルを通してその病院へささやかながら支援をしました。
それをきかっけに「グローバル・デイリーは国際支援をしていく」という、弊社の中原代表の宣言とともに、私も関わっていきたいと手をあげました。
そこから数年経ち「未来サポート文化事業団」の一員となることから始まった様々なご縁があり、ミャンマーに行く機会を頂きました。

Q:実際に体験してみていかがでしたか?

A:
色々なことを感じましたが、大きく以下の3点があります。

①世界共通!子どもたちの笑顔は輝いている✨
どの子もみんなかわいくてかわいくてたまりませんでした!シャイな子もたくさんいましたが、みんなしっかり顔を見て挨拶してくれました。

②支援提案については、まず現場を知る必要がある
<ミャンマーの子どもたちに自己表現の機会提供>を目的に、日本で行っているような絵画コンテストやDACと僧院の子ども間での文通など様々な提案を行いましたが、今回の各種提案は時期尚早という判断で、実行するのは文通のみになりました。「教育」以前の対策が必要だということ、新しい案をどんどん取り入れるよりも、小さくても「継続して」実施することの重要性を現地のパートナーに教えて頂きました。

③勉強熱心
僧院の子どもたちはとても勉強熱心で、「何をしているときが1番楽しいですか?」という質問に対し、「学校の勉強の時間!」と答える子どもが多くいました。そんな子どもたちに、しっかりとした学びの環境を作ってあげたい。また、「将来の夢」については、「学校の先生や偉い人になってミャンマーの人々へ恩返しをしたい」という回答もありました。中には日本語を勉強したい子もいました。将来的には日本語を学べる環境を作り、いつかグローバル・デイリーへ入社してもらう、そんな世界を築いていけたら!と夢が膨らみます。

Q:宗教的、文化的な部分で、支援における課題などはありますか?

A:
課題かどうかは別ですが、宗教や文化を理解した上で支援をする必要があると感じます。
今回ミャンマー訪問前に、社内で「子どもが着なくなった服を提供したい」と声を頂いたのですが、尼さんはみんな袈裟(けさ)を着ています。袈裟以外の着用ができません。
また、娯楽(踊りや音楽など)のようなものは仏教徒の戒律で禁止されている場合が多いので、おもちゃ等もNGです。
現地の状況理解がとても大切だと思います。

Q:グローバルデイリーのメンバーであり、DAC未来サポート文化事業団のひとりとして、今後の活動を簡単にご紹介ください。

A:
食糧支援はもちろん、継続的にできるサポートを考えています。
食料以外に普段の生活面(特に衛生面)でも課題があり、衛生面に関わる物資の不足はもちろん、衛生知識やそれをサポートする体制が不足しています。

衛生面で問題と言われている1つが「カビ」です。年間通して高湿度なミャンマーなので、例えば掃除をするとかモップ掛けをする、濡れたぞうきんを絞るといったような知識がないため、カビによる衛生も問題になっています。今後は、このような生活に関わる知識や支援もみらさぽを通して行っていきたいと考えています。

そして、このミャンマー支援が、DACグループ全員のプロジェクトとして動いていることを、正しく現場社員へ伝えていくことです。

Q:最後に、このような企業の社会活動「CSR」にとって大切なものとは?

A:
支援をする中で忘れてはいけないのが、支援を受ける側の意向に沿うことです。
ミャンマーの尼僧院も、我々の視点から見れば足りないものだらけですが、何でもかんでも寄付や寄贈をすれば言い訳ではなく、現地で暮らしている人たちに必要な最低限の生活をサポートできるように話し合いをしてきました。

そして、DAC未来サポート文化事業団のスローガンである「健全な青少年の育成」という面から「権力が絶対である」という教育や習慣なミャンマーでは、学校では先生、家庭では父親、厳しい指導やしつけに反論は許されず、また暗記科目以外の教育がまた浸透していないこともあり、保健体育、美術、家庭科等は教えられる教員が少なく、実際に僧院の子どもたちが通っている学校での科目にも入っていないのが現状です。

「科目を暗記できる子が頭がいい、それ以外はできない子」の概念を超え、子どもたちの多様な才能を伸ばし、表現、開花させられる<自己表現の機会>を与えること。

自己表現スキルを提供し、表現に挑戦する機会を設け、表現したときに生まれるコミュニケーションの素晴らしさを感じ、子どもたちの心の中に、自己肯定感を醸成する活動が、広告会社として最も価値のある社会貢献であり、SDGsにつながる活動であると思います。