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爆買い!中国人は何を基準にお金を払うのか?

コスメや医薬品など日用品から炊飯器や温水便座などの家電、さらにはブランドバッグ、時計などの高級品まで、今年初頭から毎日のように報じられていた中国人の豪快な買いっぷり、いわゆる「爆買い」。

家電量販店、ドラッグストア、百貨店は中国語が話せる従業員を数多く用意する“中国人向けシフト”を敷き、「免税」「銀聯(ぎんれん・中国人観光客が資金決済に使うクレジットカード)」とでかでかと掲げた看板が目立つ店も多かった。

●中国人観光客の世帯年収は意外と低いという事実

果たしてその実態はどのようなものだったのか。

観光庁が発表した2015年1~3月期の訪日外国人消費動向調査によると、中国人観光客の平均消費額は25万2,928円。国籍・地域別で堂々のトップとなり、訪日客平均14万3,205円の約1.8倍の額だ。数字上でも「爆買い」がはっきりと表れている。

だが、2010年の統計で中国がGDP世界第2位に躍り出たとはいえ、1人当たりGDPでは2014年はまだ7,500ドル程度。同調査でも世帯年収は500万円未満と回答した旅行者が過半数を占める(未回答者除く)。

所得の割に大きな額を消費している理由は、知人から日本での購入を依頼されているため。日本人に比べて中国人は旅行の計画性がないと言われることもあるが、こと買い物に関しては来日前に「お買い物リスト」をしっかり用意しているケースが少なくない。自分が欲しいものはもちろん、知人の期待を一身に集め、意気揚々と買い物旅行で日本を訪れるのだ。

●爆買いの原動力は性能より信頼感

では、その「お買い物リスト」には何が載っているのか?  化粧品、家電、ブランド品が「爆買い」の王道だが、日本製なら何でも良いというわけではない。中国の市場にも日本製の商品は流通しているが、「日本で販売されているものは高品質」と信じられているため、中国で流通している商品でもわざわざ日本で買うというケースも多い。つまり信頼感を求めて日本で買い物をすると言っても過言ではない。

日本人であれば家電を選ぶ時に性能を比較して購入を検討するだろう。だが、中国人にとって重要なのは性能より信頼感。

例えば日本の電気シェーバー市場は上位からパナソニック、ブラウン、フィリップスの順で、この3社が3大メーカーと呼ばれるが、中国人から圧倒的支持を得ているのはフィリップス。中国でも知名度が高いことで信頼を勝ち取ったようだ。

桜が満開になる頃の4月上旬、新宿にある家電量販店の電気シェーバー売り場をのぞいたところ、フィリップスのみ完売。店員も「中国人のお客様がどんどん買われていきますね」と「爆買い」の影響力にホクホク顔だった。

日本政府観光局(JNTO)によると、中国人観光客は6月までの上半期を終えた時点で217万8,600人で韓国、台湾を抑え1位。前年比は驚異の116.3%だ。

消費意欲旺盛で、訪日人数もトップを走る中国人。性能が良いだけでは買ってくれない中国人の気質を理解した上で、市場展開を考えるべきだろう。

本記事は「10MTVオピニオン」から提供を受けております。
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