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訪日外国人客により復調も、「営業利益」は永遠の課題 主要百貨店の14年度決算を読む

トップの伊勢丹新宿本店は7億円超! 主要百貨店の1日売上高ベスト10を見よ

主要百貨店の14年度決算は、三越伊勢丹ホールディングス(HD/3099)を除いては増収での推移だった。とくに、阪急阪神百貨店を擁するH2Oリテイリング(8242)は、スーパーのイズミヤを統合したことで売上高がほぼ1.5倍増である。

まずは、主要店舗の1日平均売上高を見てみよう。 1日売上高ベスト10は、表のとおりだ。

日本最大の小売店舗である伊勢丹新宿本店は、1年365日の毎日、ほぼ7億円を売上げているわけだ。阪急本店と西武池袋本店が5億円台。以下、ベスト10の顔ぶれは不動だ。近鉄百貨店(8244)のあべのハルカスは、部分営業から全館営業に移行したことで、前年度比で10%を超える増額になった。

表以外では、大丸の神戸店と心斎橋店、高島屋京都店、そごう千葉店、三越銀座店が2億円台。阪神梅田本店、大丸の京都店と東京店、高島屋新宿店、松屋銀座店が1億円台後半である。 家電量販店のビックカメラ(3048)の大型店の1日平均売上高は3,600万円弱、ドンキホーテHD(7532)の大型店はおよそ1,000万円だ。スーパーのイトーヨーカ堂にしても2,000万円弱である。1日の売上高で見れば、百貨店に対抗できる店舗の出現はない。

H2Oは入店客数も開示しており、阪急本店のそれは年間5,000万人弱である。1日当たりにすれば13.4万人の計算だ。ちょっとした自治体の人口よりも多くの人が1日に訪れるわけで、百貨店の売上高が多いのも当然といえば当然だろう。

10年度からの推移も見てみる。三越伊勢丹HD、J.フロントリテイリング(3086)、高島屋の主要店舗を調べてみた。

三越伊勢丹、J.フロント、高島屋の主要店舗をチェック!

店舗によって傾向が分かれる三越伊勢丹HD

三越伊勢丹グループの場合、店舗によって傾向が分かれる。伊勢丹新宿本店は、前年比ではマイナスだったが、5年単位で見れば1日の売上高を1億円ほど伸ばしてきたことになる。まさに同グループの“旗艦店”であり、日本一の店舗に相応しい。三越銀座店も上向き傾向だ。

対照的に、1日売上高が減少しているのが三越日本橋本店である。訪日外国人の多くは銀座には集まるが、日本橋までは足を伸ばさない、ということも要因のひとつだろう。三越伊勢丹グループは東京近郊に小型店を構えているが、千葉店に代表されるように郊外店店舗の1日の売上高は下降線を描いているのも見て取れる。

1億円を超す店舗を多数擁する、J.フロントリテイリング

突出した店舗がないかわりに、1日の売上高が1億円を超す店舗を多数擁しているのが、J.フロントだ。

表以外の心斎橋店(1日売上高2億3,153万円)、京都店(1億9,266万円)、札幌店(1億6,809万円)を含めて、横バイか上向き傾向にあると見ていい。例外は、上野店(1億1,866万円)。同店の1日平均売上高は、減少傾向を描いている。

高島屋はトップ3が3億円台で並走

高島屋は横浜店、日本橋店、大阪店の3店が、いずれも1日売上高が3億円台で並走。京都店(2億3,118万円)、新宿店(1億8,603万円)が続いているという構図だ。

東京に馴染みの薄い人にとっては「そこはどこ?」というところだろうが、玉川店も1億円台(1億1,625万円)である。これらの店舗は、いずれも微増での推移だ。

小売永遠の課題、営業利益率は

利益の中身はどうだろうか。営業利益率でいえば、ゼロコンマ以下の改善は見られるものの、相変わらず低率での推移だ。1万円の商品を販売して得る営業利益は、100円からよくて300円台。

1万円販売につき1,000円弱を稼ぐ「ユニクロ」のファーストリテイリング(9983)や、1,800円を稼ぎ出すABCマート(2670)には遠く及ばない。

三越伊勢丹グループの例でもわかるように、小型店や地方立地店舗の不振も鮮明になりつつある。まだまだ“課題山積”、というのが百貨店の現状だ。