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日本の「おもてなし」とはなんだろうか?

 訪日外国人の急増に伴い、日本人と訪日客の間でトラブルも増えているようだ。
多くの訪日外国人が大挙して訪日しているので、各所で様々なトラブルが発生するのは当然ともいえるが、
日本=おもてなしの国というイメージがある訪日客にとって、ちょっとした失礼なことでもショックを受けることがあるようだ。

 例えば、最近起こった事件で、とある寿司店が韓国人観光客に大量のワサビを入れた寿司を提供し問題となった。
電車の車掌が「多数の外国人が乗車でご不便を…」とアナウンスしたことも大きく報じられている。
ある飲食店に予約の電話を入れた中国人ジャーナリストは、日本人ではないと分かるとお店の人の態度が変わり、
「本当にお越しになるのですか?」と確認されたそうだ。
また、日本に観光に来たタイ人女性が予約したホテルの和室と実際に案内された部屋が、
和室とはほど遠い雑魚寝部屋だったことで、日本のサービス神話が覆されたと思い部屋の写真を撮影。
Facebookに投稿し、タイの友人たちに「この旅館には泊まるなと注意を促した」という。

 「外国人差別」とも解釈できるこれらの騒動を、外国人はどう見ているのか?
確かに、一部の訪日客の中にはマナーの悪い人がおり、日本人が眉をひそめることも多い。
ただし、日本人も以前には現在の訪日客のように海外で振る舞っていたのだから、
もう少し寛容な態度で接してほしいという思いや、日本特有の「単一文化」「単一民族」という意識が強くて、
異文化に対する耐性が低いように感じることもあるとのことだ。

 筆者の考えでは、日本人の接客に対する姿勢が、こうした問題を起こしているのではないかと考える。
日本人のお客に対するサービス精神は、思いやりや相手のことを察するという点で日本人相手には十分に発揮できるが、
訪日客に対する接客では言葉の問題や文化の違いからそうしたことができない。
それが対応の遅れにつながっているのではないだろうか。
わさびを多く提供したお店は、もしかしたら外国人がわさび好きな人も多いので、
多く入れてあげたほうが良いと判断したのかもしれない。
予約の電話で確認をとるのは、十分なサービスを提供するために聞いているだけかもしれない。
外国人にも十分なサービスを行いたいという思いが、裏目に出ているのではないだろうか。
また、日本人の単一民族という点が、海外の差別表現などに疎いというのも事情としてあると思う。
例えば、「外国人」という表現もある意味では差別表現にあたるという考えもある。

 どちらにしろ、今後急増する訪日客に対する対応は、日本人的な考えから一歩抜け出し、
世界基準での対応を考えなければならない時代になっていくだろう。
そうしたときに、どこまで「日本のおもてなし」を出せるかがキーとなりそうだ。

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編集者:小池 泰史