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東京オリ・パラに向け感染症対策『FUSEGU 2020』、感染症学会と環境感染学会が共同で


日本環境感染学会理事長の吉田正樹氏(左)と日本感染症学会理事長の舘田一博氏(右)

最近、世界各所で猛威を振るっている「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)」ですが、東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、国内では近年最大の「マスギャザリング(集団形成)」が予想され、その対策が課題となっています。

そんな中、去る1月22日に日本感染症学会と日本環境感染学会が共同で、感染症予防連携プロジェクト『FUSEGU 2020』を発足しました。

プロジェクトは、発足記者会見で「知らせて防ぐ(認知・理解度を上げる)」「適切な予防手段で防ぐ(マスク・手指衛生・ワクチン)」「産官学で防ぐ(協力体制を拡大する)」の3つの基本方針を掲げて取り組んでいくことを表明しました。

日本環境感染学会理事長の吉田正樹氏(東京慈恵会医科大学感染制御科教授)は、「海外から持ち込まれる感染症は数多くがある。それらのアウトブレークを起こさないために、我々が今できることをやっていきたいという考えから、発足した」とし、日本感染症学会理事長の舘田一博氏(東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授)は、「マスギャザリングとは、一定期間、限定された地域において同一目的で人が密集すること。それはまさに東京オリンピック・パラリンピックであり、世界中から、いろいろな感染症、耐性菌が持ち込まれ、広がるリスクがある」と説明し、マスギャザリングに伴う感染症の可能性やリスクの啓発が『FUSEGU 2020』の目的だとしました。

また、日本感染症学会は、医療従事者を主たる対象にインバウンド感染症への対応をまとめた「感染症クイック・リファレンス」を2019年7月に公開しており「特に感染症は、医療従事者だけの問題ではなく、学会、企業、メディア、一般市民がワンチームで取り組んでいかなければいけないテーマだ」と語りました。

医療従事者が特別の注意を払って備えることに加え、一般市民の感染症に対する正しい理解・行動が重要になるとの考えから、2月には感染症に関する意識調査、日本環境感染学会でのシンポジウム、3月には大学生を対象とした感染症カレッジや意識調査結果を解説するメディアセミナー、4月には日本感染症学会での市民公開講座など、医療従事者と一般市民双方に向けた活動を展開、Webサイト等でも随時、双方への情報発信に取り組む予定です。

1月22日の時点で、2学会の他に9学会、製薬企業など計12企業が、『FUSEGU 2020』に賛同を表明済みで、「2020」と現時点では銘打っているが、2025年の大阪万博など、マスギャザリングに伴うリスクは常に存在するため、次年度以降も同趣旨のプロジェクトを続ける方針とのことです。