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イシュー|韓国と日本、その後、そしてこれから ①

2019年7月から始まった、一連の日韓情勢から約5カ月、訪日韓国人の推移が下降の一路をたどっています。

韓国現地では日本の商品、サービス、ゲーム、アニメ、日本食など全方位にわたった不買運動が今も進行形で、日系企業の売上は存続を脅かし、一部では撤退を検討するほどのダメージを受けています。
11月21日、日本貿易振興機構(JETRO)が発表した「2019年度 アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によると、韓国進出企業の2019年の営業利益展望DI(「改善」から「悪化」を引いた比率)は、-15.7を記録しました。これは、リーマンショック後の2009年に記録した-12.5より大幅に低い結果で、過去10年で最も低い数字となりました。
JETROは「最大の輸出先である中国経済の減速、最大の輸出品目である半導体市況の悪化、不買運動など 日韓関係の冷え込みが複合的に作用している」と分析していますが、実際のところ、韓国現地で感じる日韓関係の実状はどうなのでしょう?そして、訪日インバウンド業界での韓国はこれからどうなるのでしょう?

ということで今回は、韓国現地の目線から見る2019年7月以降の「日本」について、日系進出企業の現状や、旅行業界及び韓国人の旅行インサイトなどを調べてみました。

■日系進出企業の打撃

現在、様々な分野での日本不買運動が進行形で起きている中、特に打撃を受けており代表的ケースとなっている「ユニクロ」ですが、7月以降の売上が60%以上減少しています。現地では先日、ヒートテック無料贈呈イベントを実施、10万枚を全国の店舗にて配布しましたが、話題にはなったものの、逆に売上は約70%まで減少する結果となりました。韓国で新しく放映したテレビCMがSNS上で炎上したり、代表の発言が議論になったりと、不買運動のアイコンとしてブランドイメージされているユニクロも、中々うまく身動きが取れないといった状況です。

アパレル業界では、スポーツウェアで人気の高いブランド「デサント(DESCENT)」も影響を受けています。同社は今期(2019年4月~来3月)の実績展望を大幅に下方修正し、既存の1兆5300億ウォン(約1500億円)から9.2%減の1兆4700億ウォン(約1400憶円)に、純利益は既存の566憶ウォン(約55憶)から、ほぼ9割減の75億ウォン(約6.7億円)まで趨勢しました。デサントは、韓国に約940店舗を構えており、7月からの韓国内の売上は昨年同期に比べ約30%減少しており、会見では「韓国での減収が全体の収益に大きく影響した」とし、今年までこの傾向は続くものと判断しています。

ユニクロとともに不買運動の代表商品とされている「ビール」も相当な影響を受けています。
財務省が28日発表した10月の品目別の貿易統計によると、韓国向けのビールの輸出量が1999年6月以来、20年4か月ぶりにゼロになったという報道が日本でも流れていますが、韓国の国・地域別のビール輸入額で、日本は過去10年間不動の1位だったためその衝撃は大きく、特に驚きなのは、不買の対象がキリンやアサヒなど日本のビールブランドだけではなく、日本メーカーが輸出している海外ブランドのビールにまで及んでいるということ。不買運動が消費者に限らず流通販売側も積極的に賛同していることがわかります。

影響の大きさで言うと、日韓通商で最もダメージを受けているのは「自動車」です。
韓国の輸入車市場において「コストパフォーマンスがよく、故障しない車」のイメージで確固なシェアをキープしていましたが、現在は1年前に比べ64%の減収、つまり10台売れていたのが今では4台しか売れない現状となっています。トヨタをはじめメーカー各社は、10月から大幅な割引プロモーションを実施し需要喚起を試みた結果、販売は9月に比べ倍増しましたが、ちょうど同時期に韓国のナンバープレート表記が2桁から3桁に改定され、新規登録された日本車は3桁ナンバーとなり、購入したオーナーが街中で気まずい思いをするといった風潮がSNS上で話題になるなど、全国規模で自主的に行われる不買運動の中、日本車業界の売上回復の道はまだ遠いように思われます。

②編につづく