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どんな日本を旅したい? – 訪日観光都市のあるべき姿を考える ①住む人の満足度から見る「都市ブランド」

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▲Photo by JAPANKURU
旅行とは、街(都市)を訪れ、観て、感じることであると、多くの人々は定義します。訪日旅行客が3000万人を超え、4000万人を見据えるようになったインバウンド市場ですが、未だにそのほとんどは大都市圏に集中しています。
この課題に対し、DMO(Destination Management Organization)をはじめとする様々な地方都市の観光マーケティングに力を注ぎ、ローカルツーリズムが秘めた可能性を開拓しています。

ここでひとつ、ふとした疑問が頭をよぎり、訪日旅行者の目線で考えてみました。「私たちはどんな日本を旅したいのか? どんな街を訪れ、思い出を持ち帰りたいのか?」
日本の数ある観光都市にとって、世界のトラベラーたちを自信をもってお招きできる要素は、日本らしきスポットや食事、心を込めたおもてなしなどのコンテンツ以外にも、都市そのものが持つ魅力を引き出すことで「ブランド」として競争力を持つことができるでしょう。

今回は、海外と日本の「都市」に関する指標をもとに、観光都市のあるべき姿を考えてみたいと思います。

①住む人の満足度から見る「都市ブランド」
都市のブランディングは、街ごとのキャラクター、長くも短くもその街が持つ歴史に紐づくストーリー、そして都市がそこに住む人に与える「生活の質」を土壌とし形成されます。

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▲引用:MONOCLE[Quality of Life Survey: top 25 cities, 2019]

イギリスのライフスタイルマガジン「MONOCLE」が毎年発表している、世界各都市の生活の質を図る調査「Quality of Life Survey(クオリティ・オブ・ライフサーベイ)」では、2015年から2017年までの1位が「東京」で、2019年(▲イメージ)のTOP25を見ると、東京が2位で、京都、福岡がランクインしています。
ランクインした25の都市の共通点としてあるのが、どこも世界的に有名な観光都市であり、最先端な大都市もあれば、ランドマークはないけど、街の個性がはっきりしている地方都市もあります。

旅行客にとって、旅する都市の魅力は、そこで暮らす人々によって自然と漂う姿が風景となり、発展を繰り返す中で「残るものと変わるもの」のいきさつがくっきりわかる、そんな「生活感」にあると思います。質の高いライフスタイルが共存する街には、日常の空気だけでも旅の満足を感じられます。
観光客のためにある受入れの便宜や華やかなイベントできっちりとまとまった装い正しい街は、発見や冒険もなく、わざわざ開かれた盛大なパーティに招待されたような、違和感に似た気持ちを与えることでしょう。
人々はモノクロなのに、街だけがカラフルに賑わっていて、異邦人が何の不便もない街に果たして魅力はあるのでしょうか?

②につづく